坂の上社労士事務所

2020年10月16日3 分

【助成上限額450万円】業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援

最終更新: 2020年10月18日

1.制度の目的

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金の引上げを図るための制度です。

2.制度の概要

中小企業・小規模事業者が生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成します。

3.助成額

以下の申請コースごとに定める引上げ額以上、事業場内最低賃金を引き上げた場合、生産性向上のための設備投資等にかかった費用に助成率を乗じて算出した額を助成します(千円未満端数切り捨て)。

4.支給要件

➊事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる(就業規則等に規定)

❷引上げ後の賃金額を支払うこと

❸生産性向上に資する機器・設備などを導入することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと( (1) 単なる経費削減のための経費、 (2) 職場環境を改善するための経費、 (3)通常の事業活動に伴う経費などは除きます。)

❹解雇、賃金引下げ等の不交付事由がないことなど

5.生産性向上に資する設備・機器の導入例

POSレジシステム導入による在庫管理の短縮

リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮

顧客・在庫・帳票管理システムの導入による業務の効率化

専門家による業務フロー見直しによる顧客回転率の向上など

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☛当事務所からのアドバイス

1.この助成金は、①時間単価の引き上げと②設備・機器等の購入・導入を実施することで受給できる助成金であり、②の経費補助を目的とする助成金です。なお、パンフレットや説明資料が分かりづらい為、申請の難易度は高く、審査にも時間を要します。

2.時間単価引き上げの対象者は、事業に雇用される全従業員です。全従業員とは、正社員、契約社員、アルバイトなど雇用形態を問わず、労働者であれば全て対象となります。また、出勤日数や労働時間の多寡は問いません。極端な例を挙げれば、月に5日間しか出勤しないアルバイトも対象となります。

3.最初に行う申請として、交付申請を行いますが、交付申請をしてから交付決定までに時間単価引き上げ対象の従業員が一人でも退職してしまうと、助成対象になりません。この退職は、自己都合退職であっても助成金の対象外となります。

4.事業所内最低時給の金額を、就業規則に規定しなければなりません。必ず就業規則への規定が必要となりますので、アルバイトの時給を引き上げる場合、アルバイト用の就業規則も必要となります。

5.助成金が実際に支給された後、6か月後に賃金支払い状況の報告が必要です。よって、いったん引き上げた時給をすぐに下げるなどの賃金操作は原則として行えないことになります。

6.具体的な助成金申請例

◆25円コースで時給引上げを計画

A(正社員)   月給20万円 月所定労働時間160時間 時間単価1250円

B(契約社員)  月給18万円 月所定労働時間160時間 時間単価1125円

C(アルバイト) 時給1013円(事業所内最低時給)

D(アルバイト) 時給1020円

→Cの時給を25円引き上げ、1038円とする。よって、事業所内最低時給は1038円となり、全従業員の時給は1038円を下回ることができない。

→Dの時給も25円引き上げ、1045円とする。

◆設備・機器の購入・導入

設備・機器の金額が60万円

60万円×4/5=48万円

助成上限が40万円なので、40万円が交付されることになります。