厚生労働省は、新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)を更新しています。現在の状況を見る限り、当分は企業としての対応が求められそうです。
《PICK UP Q&A》
<有期契約労働者の雇止めについて>
問5 やむを得ず有期契約労働者の雇止めを検討していますが、どのような問題がありますか。
まずは雇用調整助成金の活用などで雇用の維持を図ります。それでも、やむを得ず有期契約労働者の雇止めを検討しなければならない場合は、以下の点に留意が必要です。
① 有期契約労働者から労働契約の更新の申込みがあった場合、以下のいずれかに当たり、かつ、雇い止めに客観的で合理的な理由がなく、社会通念上不相当であれば、会社はこれまでと同一の労働条件でその申込みを承諾したものとみなされます。
a. 過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
b. 労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの
② 有期労働契約(有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者に限ります。なお、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除きます。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならないこと
<検査結果の証明について>
問6 労働者を就業させる上で、労働者が新型コロナウイルス感染症に感染しているかどうか確認することはできますか。
現在、PCR検査は、医師が診療のために必要と判断した場合、又は、公衆衛生上の観点から自治体が必要と判断した場合に実施しています。そのため、医師や自治体にPCR検査が必要と判断されていない労働者について、事業者等からの依頼により、各種証明がされることはありません。
また、新型コロナウイルス感染症患者については、医療保健関係者による健康状態の確認を経て、入院・宿泊療養・自宅療養を終えるものであるため、療養終了後に勤務等を再開するに当たって、職場等に、陰性証明を提出する必要はありません。つまり、新型コロナに感染した従業員は、医師による健康状態の確認を経て、入院・宿泊療養・自宅療養を終えた場合、会社に陰性証明を提出する必要はありません。会社は、従業員に対し、過度な証明書準備等の負担を求めたり、差別的取り扱いをしないよう注意が必要です。
《ご参考》会社の休業手当支払い義務
▶発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合
⇒会社に休業手当の支払い義務はありません。
▶発熱などの症状があることのみをもって一律に労働者に休んでいただく措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合
⇒一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。
▶新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合
⇒一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。
▶新型コロナウイルス感染症によって事業の休止を余儀なくされ、やむを得ず休業とする場合
⇒①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること、この2つの要件を満たした場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しない為、休業手当の支払い義務はありません。
▶新型インフルエンザ等対策特別措置法による対応が取られる中で、協力依頼や要請などを受けて営業を自粛し、労働者を休業させる場合
⇒一律に労働基準法に基づく休業手当の支払義務がなくなりません(休業手当の支払い義務あり)。ただし、①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること、この2つの要件を満たした場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しない為、休業手当の支払い義務はありません。
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