• 坂の上社労士事務所

複数の支社・支店・店舗がある場合の労働保険について解説します

1.労働保険は場所単位で適用

労働保険は、従業員を一人でも採用すれば、必ず加入(適用)しなければならない保険です。労働保険を適用させる単位は、場所が基準となります。

例えばある法人の本社A(所在地:東京都)で従業員を一人でも採用すれば、労働保険の成立手続を管轄の労基署(東京都内)に対して行います。この時の「従業員」とは、パートやアルバイトなども含みます。また、支店B(所在地:福岡県)を設立し従業員を採用した場合は、労働保険の成立手続を管轄の労基署(福岡県内)に対して行います。


2.労働保険の一括

A、B、それぞれ単独で成立手続をすれば、労働保険料の計算や納付事務もそれぞれで行うのが原則です。ただし、事務手続の簡便化の為、A、B、それぞれの労働保険を一括することが可能です。例えば、本社Aで労働保険事務を一括したい場合は、Aの管轄の労基署に対し「継続事業一括認可申請書」を提出します。そうすると、BはAに一括されるので、B単独で成立した労働保険番号は消滅します。年1回行う労働保険の確定申告・納付は、Bの賃金も含めてAで行うことになります。

なお、労働保険が一括できるのは、A、Bともに「事業の種類(労災保険料率表で定める)」が同じである必要があります。


3.労働保険一括後の労災手続

労働保険の確定申告などの事務はAで一括して行いますが(東京都内)、例えばBで労災事故が起きた場合は、Bを管轄する労基署(福岡県内)に労災事故の申請を行うことになります。ただし、労働保険番号は一括後の労働保険番号を使用することになります(B単独で成立した際の労働保険番号ではありません)。


4.労働保険を一括したものの、支店を独立させる場合

A、Bを再度切り離す、つまり、単独の事業として取り扱う場合の手続です。まず、Bで労働保険の成立手続を行います。Bは労働保険一括の際、既に番号が消滅されているので、新たに労働保険番号を取得しなければなりません。また、Aについては、「継続事業一括認可取消申請書」をA管轄の労基署に提出し、Bの一括を取り消します。これで手続は完了です。労働保険料の計算はどうなるかというと、以下の通りとなります。

【事例】2021年1月にBを単独の事業とする場合

▼本社A

2021年1月の労働保険成立時に「①2021年1月~3月までの労働保険料の概算分」を支払います。その上で、2021年の6月には、「②2020年1月~3月までの労働保険料の確定分」「③2021年4月~2022年3月までの労働保険料の概算分」を算出し、①と②の精算と③の支払いを実施します。

▼支店B

2021年6月に、「①2020年4月~2021年3月までの労働保険料の確定分」「②2021年4月~2022年3月までの労働保険料の概算分」を算出し、「③2020年に申告済みの概算保険料」と①を精算の上、③の支払いを実施します。

※①の中の2021年1月~3月までの労働保険料の確定分と、②には支店Bの給与は含めません


5.労働保険未加入のリスク

労働保険未加入事業所で、従業員が労災事故に遭った場合は、会社に治療費等の一部費用負担が発生する場合があります。本来、労災事故の場合、会社負担は0円で、国から治療費や休業補償を受けれるはずが、会社負担も発生してしまうということになるのです。また、労災申請手続が遅れることになりますので、給付を受けるタイミングが遅れてしまうことも考えられます。従業員を一人でも雇用すれば、必ず労働保険を適用するようにしましょう。

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