給与計算アウトソーシング・外注を検討する前に
そもそも給与計算のアウトソーシング、外注化は本当に必要なのでしょうか?自社で給与計算を行えば足りるのではないか?と考える企業様もいらっしゃるかと思います。そんな企業様に、まずは給与計算アウトソーシング・外注化のメリットとデメリット、内製化のリスクをご確認頂きたいと思います。
1. 給与計算の内製化(自社で行うこと)のリスク
給与計算を自社で行うことには、主に「人件費」と「属人化」の2つの大きなリスクがあります。
人件費のリスク
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給与や残業代の増加に伴い、社会保険料が増える可能性があります。
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能力不足や繁忙期により残業代が増加する可能性があります。
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給与は取引(課税仕入)ではないため、消費税の仕入税額控除が適用されず、消費税の軽減ができません。
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採用費・教育費が発生します。
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最低賃金は今後大幅な上昇トレンドにあります。
属人化のリスク
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役員報酬や全従業員の給与といった重要情報を自社の従業員に把握されてしまいます。
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給与担当者の突然の退職などで、業務の引継ぎがスムーズにできず、安定性・継続性にリスクが生じます。
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法改正(税制、社保、労働法制など)への対応が遅れたり、給与システムの機能を活用できなかったりするリスクがあります。
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担当者の能力不足や問題行動が、重要な誤り(例:社会保険漏れ)につながり、将来的な大きなリスクに発展する可能性があります。
2. アウトソーシング(外部委託)のメリット
給与計算を外部に委託することで、内製化のリスクを解消し、業務を安定的かつ持続可能なものにできます。
コストの合理化・適正化(人件費メリット)
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業務委託費は保険料(社保・雇用・労災)が発生しません。
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業務委託費は消費税の仕入税額控除が適用され、支払い消費税が軽減されます(原則課税事業者)。
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専門家に依頼するため、採用費・教育費がゼロです。
安定性・持続性の確保(属人化メリット)
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役員報酬などの重要情報を自社の従業員に把握されずに済みます。
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専門家に依頼することで、法改正やシステム活用に随時対応でき、法令上問題のない適正な計算が可能です。
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委託先が廃業しない限り、継続的な運用が可能です。
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給与計算以外のコア業務に集中できます。
3. アウトソーシングのデメリット
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外部とのコミュニケーション(やり取り)が発生します。
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重要情報を外部に共有することになります。
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委託内容が限定されるため、他の業務を委託する場合は別料金が発生する可能性があります。
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自社内に給与計算のノウハウが蓄積されません。
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委託先の営業日などを考慮して進める必要があり、自社の都合だけで進められません。
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委託先の業務レベルが低い場合、自社の要望を実現できない可能性があります。
4. 委託先は社労士が適している
給与計算は、所得税や住民税よりも、社会保険料(月額変更、算定反映、料率変更など)や労働分野(雇用契約、就業規則、労働時間制度など)の重要度が高いです。
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税理士は社会保険や労働分野の専門ではないため、これらを熟知している社労士(社会保険労務士)への委託が適正です。
5. 良い委託先・良くない委託先のポイント
良い委託先
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実務経験が豊富で、給与・勤怠ソフトに精通している。
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2名以上の担当制である。
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法改正や最新情報の取得に積極的。
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セキュリティー意識が高い(例:私物端末不使用、オフィス勤務、賠償保険加入)。
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業務改善も同時に考えられる。
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漏れ・エラーが少なく、同じエラーを繰り返さない。
良くない委託先
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資格取得のみで実務経験がない。
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1名の担当のみ(個人事務所に多い)。
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決まったソフトしか使えない、またはソフトの使い方がよく分からない。
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法改正に無頓着である。
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セキュリティー意識が低い(例:私物端末使用、全員在宅勤務、賠償保険未加入)。
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エラーが多く、同じエラーを繰り返す。
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不誠実でマイナス情報を隠す。
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