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執筆者の写真坂の上社労士事務所

新型コロナウイルスワクチン関連のQ&Aが公表されています/差別的取り扱いには注意しましょう

厚生労働省より、「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」の更新内容が公表されています。ご参考下さいませ。


問11 新型コロナウイルスワクチンの接種を拒否した労働者を、解雇、雇止めすることはできますか。

答 新型コロナウイルスワクチンの接種を拒否したことのみを理由として解雇、雇止めを行うことは許されるものではありません。


問12 新型コロナウイルスワクチンを接種していない労働者を、人と接することのない業務に配置転換することはできますか。

答 一般に、個別契約または就業規則等において業務上の都合により労働者に転勤や配置転換を命ずることのできる旨の定めがある場合には、企業は労働者の同意なく配置転換を命じることができますが、その場合でも配置転換は無制限に認められるわけではなく、不当な動機・目的がある場合や、配置転換の業務上の必要性とその命令がもたらす労働者の不利益とを比較衡量した結果として、配置転換命令が権利濫用に当たると判断される場合もあります。新型コロナウイルスの感染防止のために配置転換を実施するにあたっては、その目的、業務上の必要性、労働者への不利益の程度に加え、配置転換以外の感染防止対策で代替可能か否かについて慎重な検討を行うとともに、配置転換について労働者の理解を深めることに努めてください。なお、労働者の勤務地や職種を限定する合意がある場合に、その限定の範囲を超えて配置転換を行うにあたっては、労働者の自由な意思に基づく同意が必要であることにも留意してください。また、優越的な関係を背景として配置転換の同意を強要等した場合、職場におけるパワーハラスメントに該当する可能性があります。事業主は、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置が義務付けられていますので、労働者から配置転換の同意を得る際は、パワーハラスメントが生じないよう留意する必要があります。


問13 採用時に新型コロナウイルスワクチン接種を条件とすることはできますか。

答 「新型コロナウイルスワクチンの接種を受けていること」を採用条件とすることそのものを禁じる法令はありませんが、新型コロナウイルスワクチンの接種を採用条件とすることについては、その理由が合理的であるかどうかについて、求人者において十分に判断するとともに、その理由を応募者にあらかじめ示して募集を行うことが望ましいと考えます。



☛当事務所の見解

医療従事者や介護施設職員など業務上の必要性がある場合、社員数が少なく代替社員がいない等特殊な事情がある場合を除き、ワクチン未接種、ワクチン拒否のみを理由とする解雇については、労働契約法第16条「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効」に該当する可能性が極めて高いと言えます(配置転換、採用可否も類似の考え方)。逆に、ワクチン接種を強制的に禁止するような取り扱いも、合理的理由が認められる余地はありません。法律上、国民に予防接種を義務付けていない以上、差別的取り扱いに該当しないよう注意したいものです。

※予防接種法第九条(予防接種を受ける努力義務)

第五条第一項の規定による予防接種であってA類疾病に係るもの又は第六条第一項の規定による予防接種の対象者は、定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種を受けるよう努めなければならない。


☛ご参考:ワクチン接種による健康被害が労災保険の対象になるか否か(通達引用:『新型インフルエンザの予防接種により医療従事者に生じた健康被害の取扱いについて』(平成21年12月16日)(基労補発1216第1号))

予防接種については、通常、本人の自由意思によって行われ、当該労働者の業務として行われるものとは認められないことから、当該予防接種により疾病、障害又は死亡(以下「健康被害」という。)が生じたとしても、健康被害は業務に起因するものとは一般に認められず、労災保険給付の対象となるものではない。

しかしながら、医師、看護師等医療従事者については、今般の優先接種の取扱いに伴い、必要な医療体制を維持する観点から、業務命令等に基づいて予防接種を受けざるを得ない状況にあると考えられることから、予防接種による健康被害が生じた場合(予防接種と健康被害との間に医学的な因果関係が認められる場合に限る。)については、当該予防接種が明らかに私的な理由によるものと認められる場合を除き、労働基準法施行規則第35条別表第1の2の6号の5の業務上疾病又はこれに起因する死亡等として取り扱うこととなる。


☛ご参考:ワクチン接種による健康被害により欠勤した場合の取り扱い

ワクチン接種が本人の自由意思に基づいて為される以上、ノーワークノーペイの原則により、欠勤控除として差支えありません。ただし、厚生労働省では、特別休暇の付与や有給休暇の取得を促進するなど、企業側に対して配慮を求めています。

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