協会けんぽ(全国健康保険協会)から、令和5年12月4日開催の「第126回 全国健康保険協会運営委員会」の資料が公表されています。
今回の議題にも、前回に引き続き、「令和6年度保険料率について」が含まれています。
資料として、令和6年度保険料率に関する論点を整理したものが公表されています。
【現状、課題】
・協会けんぽの令和4年度決算は、収入が11兆3,093億円、支出が10兆8,774億円、収支差は4,319億円となった
・協会けんぽの今後の財政については、医療費の伸びが賃金の伸びを上回るという財政の赤字構造が解消されていないことに 加え、以下の要因により楽観を許さない状況である。
・足元の賃上げによる賃金の上昇が当面は見込まれるものの、被保険者数の伸びが鈍化していることや、不安定な海外情勢により 経済の先行きが不透明であること等によって、これまでのような保険料収入の増加が今後も続くとは限らないこと。
・医療給付費がコロナ禍前の水準を上回って推移した令和3年度をさらに上回り、高い伸びで推移していることや、今後も、後期高 齢者支援金の増加が見込まれること。
・健康保険組合の令和5年度予算早期集計では、約8割の組合が赤字を計上している。今後、協会けんぽと同様に、団塊の世 代の75歳到達により後期高齢者支援金が急増することが見込まれ、賃金引き上げによる保険料収入への効果も予想し難いこと から、財政状況の悪化した組合が解散を選択し協会けんぽに移る事態が予想されること。
・高額な医薬品や再生医療等製品の薬価収載及びそれらの収載後の効能・効果の追加による処方患者数の増加等、医療費の 伸びに大きく影響する不確定要素が存在する
今後の財政状況を見通す観点から5年収支見通し等の財政状況に関するシミュレーションを行ったところ、平均保険料率10%を維持した場合であっても、数年後には準備金を取り崩さなければならない見通しだということです。
今後の5年収支見通しのほか、人口構成の変化や医療費の動向、後期高齢者支援金の増加等を考慮した中長期的な視点を踏まえつつ、令和6年度及びそれ以降の保険料率のあるべき水準が模索されているようです。
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