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執筆者の写真坂の上社労士事務所

新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の拡大について

令和2年3月4日、厚生労働省より雇用調整助成金の拡充が発表されました。

これまでは、中国人観光客向けの観光業など、業種が限定されていましたが、業種の限定はなくなります。小売業、ネット通販、卸売業、飲食店、美容業、製造業、食品加工など、全ての業種が対象となります。新型コロナウイルスの影響により、昨年同月比で売上や生産量等が10%以上低下していることが条件とはなりますが、ほとんどの業種で影響を受けると思われます。

例えば、政府による休校やイベント自粛の影響は、以下のような事例が考えられます。

《美容業》

卒業式等がなくなり、美容室やネイル、まつげエクステに費用をかける予定がなくなったので客数・売上ともに減少した


《小売業》

例年、衣装を購入してくれている時期だが、3月や4月の行事・イベントが中止となり、販売数・売上ともに減少した


《飲食業》

3月・4月の行事・イベントに関連した飲み会のキャンセルが相次ぎ、客数・売上が減少した


新型コロナウィルス感染症にかかる雇用調整助成金の受給要件まとめ

1.新型コロナウイルス感染症拡大防止に資する一部従業員の休業や一斉休業、濃厚接触者に命令した休業等を実施した事業主、新型コロナウイルス感染症の影響により販売・生産量等が減少し、雇用調整(休業)を余儀なくされた事業主

2.売上、生産量などが前年同月比10%以上低下していること(1カ月単位の比較で可)

3.雇用調整について、労使協定を締結していること

4.雇用保険の適用事業所であること(法人・個人事業問いません)

5.就業規則を完備していること(従業員10人未満の場合は、所定労働日、所定労働時間、賃金計算期間などが記載された雇用契約書で可)

※他にも、細かく要件が設定されております。


助成額例

休業⇒休業手当×2/3(企業1/2) ※8,335円が上限となります。

☛Point

・雇用保険の適用事業所となって1年未満の事業所なども対象となります。つまり、例えば昨年同月比の売上と比較できないような事業所も対象となります。

・雇用調整の対象となる雇用保険被保険者についての要件はありません。極端な話、休業直前に入社した社員を休業させることも対象となります。

・新型コロナウイルスに起因する雇用調整については、従業員数の増減などは考慮されません。よって、要件として確認するのは前年同月の売上や生産量等になります。

・通常は、雇用調整前に計画届を提出しなければなりませんが、新型コロナウイルスに起因する雇用調整については、事後提出でも可能です(令和2年5月31日まで)。

・直近で別の雇用調整助成金を受けていたとしても、新型コロナウイルスに起因する雇用調整助成金の申請は可能です(通常の雇用調整助成金については、助成金の対象期間満了後、1年間の空白期間が必要です)。

・直近で解雇や事業主都合による退職などがあっても、雇用調整助成金の申請は可能です。

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