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  • 執筆者の写真坂の上社労士事務所

パートタイム・有期雇用労働法について【改正の概要】

パートタイム・有期雇用労働法 が施行されます

同一企業内における正社員と非正規社員間の不合理な待遇差を解消し、雇用形態に関わらず待遇に納得して働くことができるよう、パートタイム・有期雇用労働法及び同施行規則、同指針、同一労働同一賃金ガイドラインが2020年4月1日に施行されます(中小企業は2021年4月1日施行)。

※正社員とはフルタイム無期雇用労働者、非正規社員とはパートタイム労働者及び有期雇用労働者を指します。

※中小企業とは、資本金3億円以下(小売り・サービス業は5千万以下、卸売りは1億円以下)、または、常時使用する従業員300人以下(小売り・サービス業は50人以下、卸売りは100人以下)の企業です。


改正のポイント

1 不合理な待遇差の禁止

同一企業内において、正社員と非正規社員との間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。


2 従業員に対する説明義務の強化

非正規社員は、正社員との待遇差の内容や理由について、企業に説明を求めることができるようになります。従業員から求めがあれば、企業は説明義務を負います。


3 行政による助言・指導やADRの整備

都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続を実施します。「均衡待遇」「待遇差の内容・理由」に関する説明について、行政ADRの対象となります。

※ADRとは、企業と従業員間の紛争を、裁判外で解決する手続のことをいいます。

※当事務所においても、ADR代理業務を承っております。

不合理な待遇差の禁止とは

1 均衡待遇規定(パートタイム・有期雇用労働法第8条)

①②③を考慮し、正社員と非正規社員間で不合理な待遇差を設けることを禁止

①職務内容

②職務内容・配置の変更の範囲

③その他の事情(年齢・慣行など企業個別の事情による)


2 均等待遇規定(パートタイム・有期雇用労働法第9条)

①②が正社員と非正規社員で同じの場合、差別的に取り扱うことを禁止

①職務内容

②職務内容・配置の変更の範囲

※職務内容とは、業務内容+責任の程度

※待遇とは、基本給、賞与、役職手当、食事手当、福利厚生、教育訓練など

☛待遇差が不合理とならない考え方(同一労働同一賃金ガイドラインに基づく)


【基本給】

「能力・経験」「業績・成果」「勤続年数」が同一であれば同一の基本給を支給をする。「能力・経験」「業績・成果」「勤続年数」に違いがあればその相違に応じた基本給を支給をする。


【役職手当】

「同一の役職」に就く者については、同一の役職手当を支給する。「役職」に違いがあれば、その相違に応じた役職手当を支給する。


【特殊作業手当 】

「同一の危険度または作業環境」に就く者については、同一の特殊作業手当を支給する。「同一の危険度または作業環境」に違いがあれば、その相違に応じた特殊作業手当を支給する。


【精皆勤手当】

「同一の業務内容」に就く者については、同一の精皆勤手当を支給する。「業務内容」に違いがあれば、その相違に応じた精皆勤手当を支給する。

※不合理となる場合⇒非正規社員は勤務日数が少ないから支給していない。


【通勤手当】

非正規社員に対しても、正社員と同一の通勤手当を支給する。

※不合理となる場合⇒非正規社員は雇用契約期間に定めがあり、職務内容が異なる為支給していない。


【家族手当・住宅手当】

個別具体的事情に応じ、非正規社員と正社員間で待遇差が生じないよう、対応することが望まれる。


【時間外手当】

正社員と同一の時間外、休日、深夜労働の割増率を適用して支給する。


【賞与】

会社の業績等への貢献に応じて支給されるものについては、正社員と同一の貢献をした非正規社員についても、貢献部分に応じて支給する。貢献度が異なる場合は、その相違に応じて支給する。

※不合理となる場合⇒非正規社員は人事評価を行っておらず、貢献度を評価できない為支給していない


従業員に対する説明義務の強化とは

非正規社員は、企業に対し、①②の説明を求めることができます。企業は、非正規社員から説明を求められれば応じなければなりませんし、説明を求めた非正規社員に対する不利益取り扱いを行ってはなりません。

①待遇決定に際しての考慮事項

②待遇差の内容・理由

※上記以外に、非正規社員を雇い入れた際は、雇用管理上の措置内容(賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用など)について、必ず説明を実施しなければなりません。

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