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非正規格差是正訴訟まとめ/大阪医科(薬科)大学事件/メトロコマース事件/日本郵便(大阪・東京・佐賀)事件/賞与、退職金、扶養手当等の格差が不合理か否か

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 2020年10月19日
  • 読了時間: 2分

1.訴訟判決結果まとめ

①大阪医科(薬科)大学事件

正職員とアルバイト職員の賞与、病気欠勤中に対する休暇について、「格差は不合理ではない(使用者は労働契約法旧20条に違法しない)」と判断されました。

②メトロコマース事件

正社員と契約社員の退職金について、「格差は不合理ではない(使用者は労働契約法旧20条に違法しない)」と判断されました。

日本郵便(大阪・東京・佐賀)事件

正社員と契約社員の扶養手当、年末年始勤務手当、夏季冬季休暇、有給の病気休暇、年始期間の祝日給について、「格差は不合理である(使用者が労働契約法旧20条に違反する)」と判断されました。


☛参考 旧労働契約法20条(現在は、パートタイム・有期雇用労働法8条)

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。


2.判決理由ポイント

【賞与・退職金】

賞与や退職金は、正社員として職務を遂行し得る人材の確保と定着を図ることを目的としており、労務の対価の後払いや一律の功労報償将来の労働意欲の向上等複合的な事情を考慮すべきである。アルバイト職員や契約社員は、業務が容易で人事異動や配置転換もないとして、賞与や退職金を支給しないことは不合理と言えない。

【扶養手当等】

扶養手当や有給の病気休暇は、「生活保障や福利厚生を図り、継続的な雇用を確保する目的」がある。雇用契約更新を繰り返し、実質的に長期間就労のある契約社員を支給対象としないのは不合理である。


3.企業としての対策例

➊正社員と有期契約間で、職務内容、職務の責任等の違いをできるだけ具体的に説明できるよう明確にしておく

❷正社員の給与や手当の目的・趣旨・性質等をできるだけ具体化し、正社員と有期雇用間で待遇差がある場合は、その待遇差を合理的に説明できるかを検証しておく

❸正社員には、職種、職位、就業場所など人事異動・配置転換の対象者であることを明確にする

❹正社員登用制度を設け、有期雇用にも正社員待遇の道を設ける

❺家族手当などの属人的な手当は廃止する

 
 

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