• 坂の上社労士事務所

緊急事態宣言の再発令で店舗・企業が取り得る対策とは

政府は、1月8日~2月7日までの間、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の1都3県に緊急事態宣言を発令しました。また、都道府県独自で緊急事態宣言を発令するケースや(宮崎県)、大阪府は政府に緊急事態宣言の対象にするよう要望するなど、今後も緊急事態宣言を取り巻く動向は目まぐるしく変化しそうです。今回、飲食店(バーやカラオケなども含む)は、時短要請に応じることで給付金の対象となりますが、給付金で固定費を賄えない企業も多く存在します。こうした飲食店やサービス業など、特に実店舗を有する企業はこのコロナ禍、緊急事態宣言下において、どのような対策を講じれば良いのでしょうか。当事務所独自の視点で解説します。


対策1.通常通りの営業を実施する

これも一つの選択肢です。実際、昨年4月・5月、都道府県や政府の要請に従わず、通常営業を実施している会社や店舗も多く存在しました。消費者としては、利用できる店舗が限られるので、通常営業を実施している店舗の利用に繋がったわけです。結果として、売上のダウンを限りなく抑えることが可能となりました。昨年よりコロナ慣れ、緊急事態宣言慣れをしている人も多くなっているので、この選択肢はかなり現実味を帯びることになります。

「そうは言っても要請に従うべきではないか」といった意見もありますが、日本は法治国家です。国からの単なるお願い(協力要請)に従う法律上の根拠はありません。むしろ、日本国憲法では営業の自由が認められているのですから、政府の要請がまるで強制力を伴うかのような扱いは憲法違反となります。では、一体何が問題なのかと言えば、昨年から十分な時間があったにも関わらず、立法府である国会が法整備を行ってこなかったことです。国会議員の怠慢です。仕事をしない国会議員は、私達の税金から捻出される歳費を国庫に返納して頂きたいものです。


対策2.「人」単位、「時間」単位の休業で雇用調整助成金を活用する

店舗を丸ごと休業するのは得策ではありません。休業は、あくまで「人」単位、「時間」単位にとどめるべきです。今のところ、2月までは特例措置が実施されていますので、通常に比べ手続も簡略化されています。特に、前回も解説しましたが、短時間休業の緩和措置が実施されていますので、柔軟に休業体制をとることが可能です。


対策3.広告費、家賃、保険の見直しをする

多くの集客を見込めない現状で、今まで通りの広告費が本当に必要なのか、そうした検討も必要になるでしょう。また、家賃の減額は大家に毛嫌いされますが、例えば一定期間だけ減額してもらえるようお願いするなど、お願いの仕方は工夫できます。また、会社が加入している民間の生命保険などを解約するというのも一つの方法でしょう。民間の生命保険料は全額損金になることはありませんので、会社のキャッシュを残す為にも、これを機会に見直すべきです。事業運営と事業継続に必要な適正経費、これに近づける為の作業をこの機会に行いましょう。


対策4.人件費を変動費化させる

固定化した給与制度そのものを抜本的に見直す、というのも一つの手法です。給与制度の変更は、労働条件の中でも高度な変更となりますので、原則は従業員の同意が必要になります(例外的に、就業規則変更により労働条件を変更できる場合もあります)。経費削減のようなネガティブな変更ではなく、収益が上がればリターンもある、といった前向きな変更はどうでしょうか。企業、従業員が共倒れになることだけは絶対に避けなければなりませんので、こういう時こそ全社一丸となり、事業継続の方向を模索すべきです。


対策5.値下げをしない

これもよくありがちですが、厳しい時に値段を下げて集客しようとする企業・店舗がいます。これは悪手で絶対にやってはいけません。昨年の緊急事態宣言下でもそうでしたが、厳しい時に継続利用してくれる顧客こそ大切にすべきであり、そもそも価格のみで選ぶような顧客は定着しません。目を向けるべきは、あくまで貴社・貴店の技術や商品やサービスに価値を感じてもらえる顧客です。値段を下げるのは本当にどうしようもなくなった時の「最終手段」として封印しておきましょう。値下げは誰でもできることで、もはや戦略と呼べません。安易な価格競争に走るのではなく、技術や商品やサービスの価値向上の為の戦略を考えるべきです。


まとめ/コロナ・緊急事態宣言に関する私見

昨年の緊急事態宣言時よりも、明らかに給付金のメニューが少ない現状では、今回こそ企業にとって正念場となります。感染症対策を実施することは勿論ですが、まずは冷静に、できるだけ通常の経済活動・社会生活を送ることが重要です。コロナや緊急事態宣言を理由に、人や企業が思考停止に陥ってはいけません。例えば、あるショッピングモールでは、感染症対策として入口や出口を一つにしたり、エレベーターの稼働台数を減らしたりしています。これが果たして感染症対策にどのように有効なのでしょうか。むしろ、人が集中し、密な状態を作り、逆効果ではないでしょうか。昨年からそうですが、こうした矛盾がありとあらゆる場面で行われてきたのです。

高齢者など死亡リスクの高い方を守ることはとても重要です。一方で、子供達や若い世代の楽しみ・学び・就職・出産の機会を確保することも重要です。コロナや緊急事態宣言を理由に、こうしたバランスが崩れ、日本全体が総思考停止化している現状に、私個人として残念でなりません。未来を生きる子供達や若い世代が、社会や政治に希望を持てる環境を作ること、これも大人に課された責任だと改めて感じるところです。

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