外国人技能実習生に1か月に100時間以上の時間外労働をさせたほか、労働基準監督官の立ち入りに対して、うその説明をしたとして、冷凍食品会社など2社とその社員3人が労働基準法違反の疑いで書類送検されました。1か月の時間外労働で100時間の上限を超えて違反し書類送検したのは全国で初めてだということです。
NHK
☛当事務所のアドバイス
①時間外労働の上限規制とは
【原則の上限】
残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。違反した場合には、刑事罰(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科される場合があります。
【例外】
※臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、以下を超えることはできません。
・年720時間以内
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む) 「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」
・100時間未満(休日労働を含む) ②時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)を届出しましょう
従業員を一人でも採用しており、かつ、上記【原則の上限】を超えて時間外労働が発生する企業様は、必ず36協定届を管轄の労基署へ提出しましょう。36協定届の未提出は、監督署による是正勧告の対象となります。
③労働基準監督官の立ち入りや調査を拒んだり、妨げたりした者は、労働基準法により処罰される場合があります。
労働基準法第120条「次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
四 第百一条の規定による労働基準監督官(中略)の臨検を拒み、妨げ、若しくは忌避し、その尋問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出をした者」
④労働基準監官が行う司法処分
監督指導の結果、是正勧告を受けた法違反を是正しないなど重大・悪質な事案については、強制捜査を含む司法警察権限を行使し、送検されます。虚偽の説明や書類提出は、悪質性が高いと判断されますので、こうした行為は絶対に避けるべきです。仮に、時間外労働の上限時間を超えて働かせていたとしても、時間外労働を抑制する為に具体的に対策して実現し、従業員の健康確保措置を講じ、未払い賃金があればそれらを支払うことで、書類送検は回避することが可能です。
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