1.報道内容
日本年金機構は6日夜、10月分の「年金振込通知書」について、宛名と中身を取り違えるミスが約97万件あったと発表し、謝罪した。通知書を受け取った人から「別人の年金額が記載されている」といった問い合わせが複数あり、機構が調べていた。機構は午後7時半ごろから、厚生労働省で記者会見を開いている。
朝日新聞
2.日本年金機構(旧社会保険庁)の不祥事について
古くはグリーンピア問題(公的年金資金流用問題)、2007年の年金記録問題(消えた年金)、2015年の年金管理システムのサイバー攻撃問題(125万件の個人情報流出)、2018年の年金データ入力ミス問題(情報処理会社のデータ入力ミスが原因で、2月支給分の年金のうち10万4000人が計約20億円過少に支給されていた問題)、中国業者への再委託問題(マイナンバー含む個人情報の入力を外部業者に再委託)など、日本年金機構(旧社会保険庁)の不祥事、問題をあげればキリがありません。
3.97万件のエラーは異常
仮に人為的エラーが発生したとして、数件はあり得るかもしれません。ただ、97万件もエラーが起こるというのは、あり得ない数値ではないでしょうか。おそらくこれも外部業者に委託しているのでしょうが、一体どのようなプロセスを経て業者を選定しているのでしょうか。こんないい加減な組織に、マイナンバー含む個人情報を預けているのかと思うと、恐怖すら感じます。これまで数々の不祥事を起こしていながらこの有様ですから、年金機構という組織は旧社会保険庁時代から本質的に何ら変わっていないということでしょう。
驚くべきことに、今回の年金機構の大失態を擁護する著名人まで表れる始末です。「人のやることなのでミスは起こる。一定のミスは受け入れるべきではないか」という趣旨のものです。元大阪市長の橋下徹氏がフジテレビの番組でそうコメントしていましたが、あれだけ行政の怠慢に対して厳格に臨んでいた過去の橋下氏の姿からは想像できないコメントです。年金振込通知書には、年金の振込額だけでなく、基礎年金番号なども記載されています。このようなセンシティブ情報を97万件も取り違える組織を擁護できる理由が見当たりません。
4.「行政=正しい」わけではない
当事務所において、こういう事例がありました。
ある企業様の『二以上事業所勤務届』『取得届』を今年6月30日に電子で申請していたのですが、申請から3週間後に突然返戻されたのです。返戻理由を見ると、「算定基礎届の同時提出がないので、該当の届出は受理できません」といった内容でした。私の方で手続の要件を確認したところ、「算定基礎届を同時に出せ」といった要件は一切見当たりません。管轄の年金機構に確認しても「わかりません」の一点張り。年金事務センターも「算定基礎届を同時に提出してください」しか言いません。
頭にきた私は、当該職員に下記の項目をぶつけました。
①二位上届出と同時に算定の提出は必要か、必要であるならばその根拠を示してほしい
②二位上届出と算定を同時に提出することと、二位上届出直後に算定を届け出るのと、事務処理上一体何が問題になるのか(例えば保険料徴収などへの影響)。問題になるのであれば具体的に教えて頂きたい
③もし上記②が事務処理上問題にならない(=二以上と算定を同時に提出する必要がない)のであれば、まずは電話連絡をして、算定を届出すればよいのではないか。なぜ、いきなり返戻としたのか。何のために連絡先を登録しているのか
④電子申請の利便性とは何か。政府が電子申請を推奨していながら、紙の届出よりも時間を要するようでは電子申請のメリットが全くないではないか
⑤そもそも二位上届出は審査に時間を要したり、相当な確認が入るような「高度な内容」なのか
⑥標準事務処理期間はどれくらいなのか
結論として、二以上届と同時に算定の提出は必須でなく、あくまでも年金機構の推奨にとどまるという見解でした。結局、私が電話で上記項目をぶつけた日に担当職員から謝罪の連絡があり、その翌日に事務処理が進みました。
5.ご相談・ご依頼は当事務所へ
行政の対応に納得いかない、顧問社労士が当事者意識(企業側意識)をもって対応してくれない、とにかく行政の言いなり・行政に従順な社労士に辟易しているなど、お困りのことがございましたら是非当事務所にご相談下さいませ。