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  • 執筆者の写真坂の上社労士事務所

同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査・中小企業では対応未定企業が約2割

独立行政法人労働政策研究・研修機構では、令和2年4月1日に同一労働同一賃金の実現に向けた改正が行われた「パートタイム・有期雇用労働法」が施行された当時に同改正法の適用前だった中小企業を中心とする「アンケート調査」を実施し、その調査結果を公表しました。また、調査の実施当時、既に同改正法が適用されていた大企業に対しては、別途「ヒアリング調査」も行い、具体的な取組内容や待遇の変化、取組のプロセスや重要なポイント等を把握することにしました。


アンケート調査の結果については、「主な事実発見」として、次のような点が紹介されております。


全有効回答企業(n=9,027)を対象に「同一労働同一賃金ルール」の認知度を尋ねると、「内容はわからないが、同一労働同一賃金という文言は聞いたことがある」(31.4%)を含めた認知度は9割を超えたものの、「内容を知っている」企業は64.0%にとどまった。

全有効回答企業のうち本年10月1日現在で「パートタイム・有期雇用労働者」を雇用している企業(n=6,877)を対象に、「同一労働同一賃金ルール」への対応(雇用管理の見直し)状況を尋ねると、「既に必要な見直しを行った(対応完了)」が14.9%、「現在、必要な見直しを行っている(対応中)」が11.5%、「今後の見直しに向けて検討中(対応予定)」が19.5%となり、総じて「必要な見直しを行った・行っている、または検討中」の企業が4割超となった。一方で、約5社に一社(19.4%)が、依然として「対応方針は、未定・わからない」状態にとどまっている現状も浮き彫りになっている。

正社員以外の雇用区分として、いずれの企業も複数の区分を設けていたが、職務内容や人材活用の仕組み・運用等のいずれもが正社員と同じ区分はなかった。

・待遇の種類によって、既に正社員とパートタイム・有期雇用労働者とで同様にしているもの、同一労働同一賃金ルールが大企業に施行される2020年4月に向けて見直したもの、施行後も正社員とパートタイム・有期雇用労働者間に差異があるものと、各社それぞれである。なお、見直しに当たっては、パートタイム・有期雇用労働者の待遇の見直しを行っており、正社員の待遇を見直した企業はなかった。

・待遇の見直しに向けた具体的な行動としては、他社の動向や事例の情報収集、最高裁判決ほか裁判例についての情報収集などが多かった。

・同一労働同一賃金の取組を進める上での重要なポイントとしては、労働者側の納得を得られるようにすることを挙げた企業が多かった。

・同一労働同一賃金に向けた取組による効果を定量的に測定することは困難だが、パートタイム・有期雇用労働者の賃金の増加率などを挙げた企業もあった。また、パートタイム・有期雇用労働者自身にとっての処遇向上、満足度の上昇などのメリットのほか、会社としてのメリットを示した企業もあった。

同機構では、アンケート調査の結果を踏まえて、「同一労働同一賃金ルール」への対応に当たり、 「労使の話合いを行った(行う)」 企業は半数に届かない。一方で、「パートタイム・有期雇用労働者」も含めて「労使の話合いを行った(行う)」企業ほど、「職場の公平・公正化や納得感の醸成」「働く意欲や生産性の向上」「人材の確保・定着」等の効果を見込む割合が高いことから、「労使の話合い」の重要性をそのメリットとともに啓発する必要がある。と指摘しております。





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