【2026年公的年金の確定申告・完全保存版】年金受給者のための「確定申告」と「税制改正」徹底解説~「手取りが増える」改正の裏にある、還付金消滅と新たな扶養のルール~
- 坂の上社労士事務所

- 13 分前
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2026年(令和8年)1月、確定申告のシーズンが到来しました。今年、年金受給者の皆様を取り巻く税金の世界では、過去数十年に一度レベルの大改正が行われています。「基礎控除の大幅引き上げ」や「源泉徴収ラインの変更」。これらは一見、減税という嬉しいニュースに見えますが、仕組みを正しく理解していないと、「戻ってくるはずのお金(還付金)を取り逃がす」、あるいは「使えるはずの扶養控除を使い忘れる」という事態になりかねません。
本記事では、国税庁や日本年金機構の最新資料に基づき、社労士・社会保険労務士の視点で「公的年金の確定申告」と「最新の税制改正」の実務ポイントを、どこよりも深く解説します。
1.【制度の基本】公的年金の確定申告「やるべき人・やらなくていい人」
まずは基本ルールの確認です。政府は年金受給者の事務負担を減らすため、「確定申告不要制度」を設けています。
1. 「申告不要」の2つの条件
以下の①と②を両方満たす方は、税務署への確定申告は必要ありません。
①公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下
②公的年金等「以外」の所得金額が20万円以下
2. ここがポイント!「20万円の壁」の計算が変わる
「年金の他に、少しアルバイトをしている」「個人年金が入った」。そんな時に気にするのが②の「20万円以下」という条件です。今回の税制改正により、この計算が年金受給者にとって有利になりました。
給与所得控除の引き上げ:アルバイト等の給与収入から差し引ける「給与所得控除」の最低額が、従来の55万円から65万円に引き上げられました。
影響:これにより、アルバイト収入が年間85万円(所得20万円+控除65万円)までなら、申告不要の範囲内に収まることになります(これまでは75万円が目安でした)。「少し働きすぎたかな?」と心配していた方も、この新ルールで再計算すると申告不要になるケースが増えています。
2.【税制改正の核心】年金受給者を直撃する「3つの激変」
ここからが本題です。令和7年度税制改正(2025年実施)は、年金受給者の「財布」に直結する変更を含んでいます。
①基礎控除が「48万円」⇒「95万円」へ倍増
すべての納税者に適用される「基礎控除」。これが所得に応じて大幅に増額されました。 年金収入のみで生活されている多くの方(合計所得132万円以下の方)にとって、基礎控除額は従来の48万円から95万円へと、ほぼ倍増しています。
これは強力な減税です。しかし、この変更は次の「源泉徴収」に大きな影響を与えます。
②年金からの「天引き(源泉徴収)」がなくなる?!
基礎控除が上がったことに伴い、「年金から所得税を天引きする基準(源泉徴収不要額)」も大幅に引き上げられました 。
受給者の年齢 | 改正前の天引き開始ライン | 改正後(令和8年分〜) |
65歳以上 | 年額 158万円 | 年額 205万円 |
65歳未満 | 年額 108万円 | 年額 155万円 |
【ここが最大の落とし穴】
年金収入が200万円(65歳以上)の方を例にします。これまでは「税金が引かれているから、確定申告で医療費控除を使って取り戻そう(還付)」という流れが一般的でした。しかし、改正後は「そもそも税金が引かれない(天引き額0円)」となります。「天引き額0円」の場合、いくら医療費がかかっても、還付申告はできません(戻ってくる税金がないからです)。
「今年は還付金がない!」と慌てる前に、まずは源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円になっていないか確認してください。
3.【扶養の拡大】家族を扶養に入れる「壁」が123万円に
ご質問にあった「扶養の範囲拡大」は、年金受給者にとって「家族の分まで税金を安くできるチャンス」が広がったことを意味します。これも税制改正の大きなポイントです。
1. 扶養親族の「所得要件」が緩和されました
あなたが配偶者やお子様、お孫様を「扶養親族」として申告する場合、その対象となる家族の収入上限(所得要件)が引き上げられました。
改正前:合計所得48万円以下(給与収入103万円以下)
改正後:合計所得58万円以下(給与収入123万円以下)
※給与収入123万円-給与所得控除65万円=所得58万円
【年金受給者へのメリット】
例えば、同居しているお子様や配偶者がパートで「年収115万円」稼いでいるとします。これまでは「103万円を超えているから扶養に入れない」となり、あなたの税金を安くする(扶養控除を受ける)ことはできませんでした。しかし、今回の改正で123万円までOKになったため、この家族をあなたの扶養に入れることができます。その結果、あなたの所得税・住民税が安くなります。
2. 大学生の孫がいる方は注目!「特定親族特別控除」
さらに、19歳以上23歳未満(大学生年代)の扶養親族については、「特定親族特別控除」という制度が創設されました。この年代のお子様やお孫様がいる場合、彼らのアルバイト収入が多少増えても(給与収入188万円以下など)、段階的に控除を受けられる仕組みになっています。「孫がバイトを頑張りすぎて扶養から外れそう」という心配が、税制面では大幅に軽減されています。
まとめ:2026年、損をしないためのチェックリスト
制度改正により「税金が安くなる(引かれなくなる)」のは事実ですが、手続きの判断は複雑になりました。以下の3ステップで必ず確認を行ってください。
源泉徴収票の「税額」を見る
「0円」なら、税務署への還付申告は不要(不可)です。
数字が入っていれば、医療費控除等で還付の可能性があります。
家族の収入を確認する(扶養の再点検)
年収103万円を超えて123万円以内で働いている家族がいませんか?
もし居れば、今回の申告からあなたの「扶養親族」に追加できる可能性があります。忘れずに申告書に記入しましょう。
「住民税の申告」を忘れない
これが最も重要です。税務署への申告が「不要」になったとしても、医療費がかかったり、家族を扶養に入れたりした場合は、お住まいの市区町村役場で「住民税の申告」を行ってください。
これをしないと、翌年の介護保険料や国民健康保険料が高くなるリスクがあります。
税制改正は「知っている人だけが得をする」ルールになりがちです。ご自身の年金収入とご家族の状況を照らし合わせ、最適な選択をしてください。
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