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【2026年度】労災隠し根絶へ!厚労省が「メリット制」のメスを入れる真意とは?人事労務が直面する3つの大転換

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 1 日前
  • 読了時間: 5分
労災かくし

2026年、労働環境を取りまく法規制は大きな転換点を迎えています。特に注目すべきは、厚生労働省が2026年度に踏み切る「労災隠し」の実態調査と、それに伴う「メリット制」の根本的な見直しです。

本記事では、特定社会保険労務士の視点から、このニュース(日本経済新聞)の裏側にあるリスクと、企業が今後取るべき生存戦略について、3つの視点で徹底解説します。


1. 制度の歪みが招いた「報告の躊躇」:メリット制の功罪

厚生労働省が2026年度に実施を予定している実態調査の最大のターゲットは、皮肉にも「労災防止」のために作られたメリット制という仕組みそのものです。

メリット制の仕組みと「隠したくなる」力学

メリット制とは、労働災害が少ない事業所の保険料負担を軽減し、逆に多い事業所の負担を増やす制度です。

  • 収支率の算定:支払った保険料と、支払われた保険給付額を比較して算出されます 。

  • 変動幅:給付額が小さければ保険料率は最大40%引き下げられ、逆に大きければ最大40%引き上げられます(中小企業は最大45%)。

この「最大40〜45%の保険料変動」という強力な経済的インセンティブが、事業主にとって「1件の報告で数百万〜数千万円のコスト増になるかもしれない」という恐怖を生み、結果として報告をためらわせる要因になっていると指摘されています。

求められる「根源的な検討」

2025年夏から開催されている労働政策審議会では、労働者側委員から「制度の是非を含めた根源的な検討」を求める声が上がっています。一方で、使用者側は制度の存続を求めており、議論は平行線を辿っていますが、メリット制の対象労働者は約3,500万人(全労働者の約6割)に及ぶため、この見直しが企業経営に与えるインパクトは計り知れません。


2. 刑事罰と「送検」の実態:法規制の厳罰化と社会的制裁

「少し怪我をしたくらいなら、健康保険で治療すればいい」という安易な考えは、2026年現在、もはや通用しません。

労働安全衛生法による義務

労働安全衛生法は、職場で労災が発生した場合、所定の形式で労働基準監督署に届け出ることを事業者に義務付けています。

  • 罰則:報告を怠った場合、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

  • 目的:単なる事務手続きではなく、「原因究明による再発防止」と「適切な治療の確保」が真の目的です。

統計が示す「氷山の一角」

記事によると、労災隠しで送検された件数は2024年で87件となっており、この10年間は毎年90件前後で推移しています。しかし、厚生労働省の担当者は、これらは外部通報や相談で発覚した「氷山の一角」に過ぎないと見ています。2026年度の調査では、労働者側への直接のヒアリングやアンケートを通じて、埋もれている事案を強制的に掘り起こす方針です。


3. 実務上の注意点:これからの「クリーン労務管理」

今後、厚労省の調査が進む中で、企業はどのような点に注意すべきでしょうか。

① 「現場の判断」に任せない体制づくり

労災隠しが発生する多くの場合、経営層ではなく「現場責任者」が、自身の評価低下や手続きの煩雑さを嫌って独断で行います。

  • 軽微な事故でも必ず報告するフローの徹底。

  • 「労災を起こしても隠さないことが評価につながる」という文化の醸成。

② 2026年度の調査に向けた「自己点検」

2026年度の調査では、退職者を含めた労働者への調査が行われる可能性があります。過去に「私傷病として処理した」ケースがないか、今一度再確認が必要です。特に中小企業においてメリット制の変動幅が45%と大きい点は、コンプライアンス上の大きな誘惑となりますが、発覚時の損害(罰金、送検、社会的信用の失墜)と比較すれば、報告することの正当性は明白です。

③ 外部専門家の活用

労災保険制度は複雑であり、メリット制の計算や申請業務には専門的な知識が必要です。特に今後の制度改正を見据え、最新の法動向を把握しておくことは経営リスクの回避に直結します。


透明性が企業を守る時代へ

「保険料を安くしたい」という動機は経営として理解できますが、それが「労災隠し」という違法行為に繋がってしまえば、本末転倒です。政府は2026年度、その根源にある「メリット制」にメスを入れようとしています。

これからの企業に求められるのは、労働災害をゼロにする努力はもちろんのこと、万が一発生した際に「100%正直に報告し、労働者を守る」という姿勢です。それが結果として、企業ブランドを守り、長期的な成長へと繋がります。


【関連リンク・参考資料】


坂の上社労士事務所/給与計算・就業規則・助成金・社会保険・労務相談・人事評価(東京都千代田区神田三崎町/全国対応)

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