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【専門家解説】RIZINのPPV「ABEMA独占配信」への移行を社労士が斬る。プラットフォーム一極集中が格闘家(フリーランス)に与える影響とコアファンの危惧

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 2 日前
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更新日:2 日前

RIZIN

2026年8月12日に配信された公式YouTube番組にて、RIZINのペイ・パー・ビュー(PPV)配信が9月の大会よりABEMAへ一本化されることが発表されました。これまではU-NEXTなど複数の媒体で視聴可能でしたが、今後は単一プラットフォームでの独占配信となります。

私は日々、企業の労務管理や人事制度の構築を支援する特定社会保険労務士であると同時に、PRIDEやK-1の黄金時代から長年国内格闘技を追い続けてきた1人のコアファンでもあります。

本記事では、この「配信プラットフォームの限定」という経営判断について、労働法務の実務的な視点と、1人の格闘技ファンの視点の双方から、3つの要点で解読し、なぜこの決断が長期的に見て格闘技界の不利益になり得るのかを徹底解説します。


本件の核心を突く3つの視点

  1. プラットフォーム一極集中による「顧客層の分断と縮小」リスク

  2. 格闘家(フリーランス)の広告価値低下による、スポンサー収入減少のリスク

  3. 広く大衆に届ける「地上波テレビ出身」のトップによる決断としての矛盾


1.制度改正の視点から見る、本決定の実務的・法的背景

労働法務の専門家として今回の独占化発表を見た際、最も危惧するのは選手たち(個人事業主・フリーランス)の「労働環境」と「収益構造」への直接的な悪影響です。

近年、政府(厚生労働省や公正取引委員会など)は、特定の巨大デジタルプラットフォーム企業が市場を独占することの弊害を重く見ています。その具体的な対策として制定されたのが、2024年秋に施行された「特定受託事業者事業取引適正化等に関する法律(通称:フリーランス新法)」などの新しい法制度です。

これらの法整備の経緯には、立場の弱い個人事業主が特定のプラットフォームや巨大な発注者に依存せざるを得ない状況が生じると、優越的地位の濫用が起きやすくなり、実質的な労働条件が悪化するという政府の強い危機感があります。政府の狙いは、取引の選択肢を広げ、適正で公正な競争環境と多様な働き方を保護することにあります。

今回のABEMAへのPPV一本化は、RIZINという興行会社とABEMA間の事業契約に基づくものです。しかし、興行を最前線で支え、身体を削っている格闘家たちは独立したフリーランスです。配信媒体が複数存在し、多様な層の目に触れる環境こそが、選手たちの市場価値を高めるための最大の基盤でした。それを単一のプラットフォームに絞ることは、政府が推進する「フリーランスの自立と保護」という方向性に逆行し、選手たちの営業基盤を著しく狭める結果を招きかねません。


2.実務上の注意点:露出経路の限定が招く「スポンサー離れ」の構造的リスク

実務的な観点から見れば、プラットフォームの一極集中は、個人事業主である選手たちに極めて大きな不利益と経営リスクを背負わせる構造です。

格闘家の主な収入源は、主催者からのファイトマネーに加え、トランクスやバナーに企業名を入れる「スポンサー協賛金」が極めて大きな割合を占めます。協賛する企業側から見れば、支援の対価は「どれだけ多くの、そして幅広い層の目に触れるか」という広告宣伝効果に尽きます。これまでは、U-NEXT等の巨大な会員基盤を含む複数の配信媒体が存在したことで、多様な視聴者層へのリーチが担保されていました。

しかし今後は、「ABEMAでPPVを購入する特定の熱心な層」にしか露出できなくなります。総視聴者数の母集団やリーチできる層の幅が狭まれば、必然的にスポンサー企業から見た「選手の広告価値」は低下します。結果として、圧倒的な知名度を持つ一部のトップ選手は別として、これから這い上がろうとする若手や中堅選手に対する企業の協賛金は薄くなり、資金離れが起きるリスクが極めて高いと言わざるを得ません。選手個人の自立や生活基盤を考えた時、露出経路の分断はあまりにもリスキーな決断です。


3.一人のコアファンとしての提言:なぜこの判断は良くないのか

ここで、PRIDEやK-1時代から格闘技の歴史を共有してきた1人のコアファンとしての視点を交えたいと思います。結論から言えば、今回のABEMA一本化という判断は、格闘技文化の未来にとって本当に良くないと考えます。

最大の理由は、榊原信行社長自身が「地上波テレビ局」という、最も広く大衆に開かれたマスメディアの出身であるにもかかわらず、その原点と矛盾する閉鎖的な手法を選択している点にあります。

PRIDEやK-1が日本中を巻き込む社会現象となり得たのは、地上波放送によって「最初は格闘技に興味がなかった層」までをもお茶の間で巻き込んだからです。現在のデジタル配信時代において、その「開かれた窓」の役割を担うのは「プラットフォームの多様性」です。例えば、U-NEXTで海外メジャー団体や他のスポーツ、映画を見ている層が、同じプラットフォーム内にあるからこそ、ふとしたきっかけでRIZINにも触れる。そのシームレスな導線こそが、新たなファンを生み出す現代の「裾野」でした。

地上波テレビ出身であり、コンテンツを広く大衆に届けることの重要性と威力を誰よりも熟知しているはずの榊原社長が、あえて他媒体のユーザーを切り捨て、1つのプラットフォームへの囲い込みを選択したことは、論理的に考えて大きな矛盾を孕んでいます。既存のコアファンを抽出して移動させるだけの施策は、新規層の開拓ではなく既存顧客の消費に過ぎません。

格闘技の魅力と熱狂は、より多くの人々、より多様な価値観を持つ人々と共有することで増幅されます。せっかく秋元強真選手のような超新星が現れ、日本MMAのレベルが上がり、ファン層が確実に広がってきている最高のタイミングにおいて、ファンに新たな負担を強いる独占化は、その熱に冷や水を浴びせる決定です。

短期的な契約メリットにとらわれず、選手という「人財」の価値を最大化し、ファンが最もアクセスしやすい開かれた環境を再構築する方向への再考を、1人のファンとして、そして専門家として強く望みます。


【緊急】榊󠄀原社長に呼び出されました 2026 → ゲスト:X(RIZIN FIGHTING FEDERATION:RIZIN公式YouTube)


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