【独占告発】東京新聞が報じた「国保逃れ」の闇――特定社労士が暴く、偽装雇用の法理破綻と会計上の致命的な矛盾
- 坂の上社労士事務所

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2026年4月、東京新聞(『「国保逃れ」に新たな手口…業者に接触した特定社会保険労務士が読み解く』)において私、前田力也が警鐘を鳴らした通り、個人事業主を形式上の「従業員」に仕立て上げ、社会保険に不適切に加入させるスキームが蔓延しています。
一見すると社会保険料の負担を軽減する合理的な手法に見えますが、その実態を精査すれば、労働法・社会保険諸法令の潜脱、税務会計上の論理破綻、さらには士業としての倫理欠如が幾重にも重なった、極めて脆弱な「砂上の楼閣」であることが分かります。本稿では、専門家としての知見に基づき、その不正の実態を3つの視点から明らかにします。
1. 労働法・社会保険諸法令における「被保険者資格」の完全なる否認
第一の論点は、法的な「雇用の実態」です。社会保険の加入は、単なる書類上の手続きではなく、実態としての「使用従属関係」の存在が絶対条件です。
「労働者性」を欠いた虚偽届出の構造
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者資格は、事業所に雇用され、その対価として報酬(賃金)を得ている「労働者」であることを前提としています。最高裁判例および行政通達(昭和61年基発第50号等)によれば、労働者性の判断には「業務遂行上の指揮監督」「拘束性」「報酬の労務対価性」が不可欠です。
本スキームにおける「利用者(個人事業主)」は、実際には自らの事業を継続しており、当該事業者からの具体的な業務指示を受けることも、指定された場所で拘束されることもありません。さらに、額面上の給与が設定されていても、後述する多額の控除により「実質的な給与の支払いがゼロ」となっています。労務の対価としての賃金支払いが実在しない以上、この契約は法的には無効であり、資格取得届は明確な「虚偽の届出」にあたります。
遡及取消がもたらす経済的・社会的損失
日本年金機構や健康保険組合が「実態なし」と判断した場合、資格取得時にまで遡って加入が取り消されます。これにより、利用者は過去数年分にわたる医療費(保険給付分)の返還、年金受給権の消失という甚大な損害を被ります。これは、単なる「手続きの不備」では済まされない、個人の人生を破壊しかねないリスクです。
2. 会計・税務上の論理破綻――「控除」による給与未払の実態
第二の論点は、金流の不自然さです。本スキームは、適正な会計処理を行えば「ビジネスとして成立しない」という致命的な矛盾を抱えています。
恣意的な控除による「賃金支払実態」の消失
悪徳業者のスキームでは、低い報酬で社会保険に加入させつつ、個人事業主から「広告費」や「コンサルティング料」として別途金銭を徴収します。さらに、本来支払うべき給与から「研修費・教材費(仮)」などの名目で、社会保険料の本人負担分を差し引いた残額のほぼ全額を控除しています。
実態:給与-社保-研修費等= 差し引き0円
この「手取りゼロ」の運用は、労働基準法第24条(賃金全額払いの原則)を骨抜きにするものであり、当局の調査が入れば「賃金支払いの実態がない」とみなされる決定打となります。
消費税の「逆ザヤ」と脱税の必然性
このモデルを事業者が適正に計上する場合、個人事業主から受領する「広告費」や「コンサルティング料」、個人事業主へ支払うべき給与から天引きした研修費等は、「雑収入(課税売上)」となります。
収入(課税):コンサル料 + 研修費
支出(非課税):給与(仕入税額控除不可)
事業者が消費税を正しく納税すれば、一人当たりの利益は消え去り、「赤字」に陥ると想定されます。つまり、このビジネスを黒字化させるには、意図的な売上除外(別勘定科目計上による脱税)か、標準報酬月額の改ざん以外に道はなく、運営自体が犯罪行為を前提としている可能性が極めて高いと言えます。
3. 士業の職域破壊――行政書士等による「非社労士活動」という大罪
第三に、そして実務家として最も看過できないのが、「行政書士」等の無資格者が社会保険業務を主導しているという事実です。
法律を軽視する「無資格受任」の問題
社会保険労務士法第2条および第27条により、社会保険に関する書類の作成および提出代行は、社会保険労務士(社労士)の独占業務です。行政書士が「コンサルティング」や「事務代行」と称して社会保険の手続きに関与し、報酬を得ることは、弁護士法における「非弁行為」と同様の、極めて悪質な「非社労士活動」です。
法令遵守の模範となるべき士業が、自らの職域を逸脱し、脱法スキームの片棒を担いでいる現状は、士業制度に対する重大な冒涜です。これは単なる縄張り争いではなく、「法に基づかない不適切なアドバイスによって、国民が多大な不利益を被ることを防ぐ」という国家資格の根幹に関わる問題なのです。
政府の狙いと今後の動向――「勤労者皆保険」へのシフト
政府は現在、社会保障制度の持続可能性を高めるため、「勤労者皆保険」の実現に向けた改革を加速させています。
デジタル監視網による一斉摘発
2026年以降、マイナンバー制度を活用した国税・年金データの連携はさらに深化します。「高額な事業所得がありながら、特定の法人から最低等級の給与を得ている」という不自然なデータは、AIによるデータマイニングで容易に抽出可能です。当局は既にこうした「国保逃れ」の手口を把握しており、一斉調査に向けた包囲網は着実に狭まっています。
専門家としての提言、そして不正業者への宣戦布告/国保逃れ
私は、東京新聞等のメディアを通じて、この不正スキームの闇を告発し続けてきました。 もし、私のこの論理的な分析に対し、「適法である」「正当なビジネスである」という反論を持つ事業者がいるのであれば、逃げ隠れせず、直接私のもとへ話し合いに来てください。専門家として、この国の社会保障制度を守るために、いかなる場でも徹底的に議論する用意があります。
適正な労務管理こそが、企業の信用と個人の安心を支える唯一の基盤です。私は特定社会保険労務士として、これからも不正なスキームを排除し、健全な労働市場の構築に邁進してまいります。
*「国保逃れ」に新たな手口 国の対策をすり抜ける「従業員型」とは…業者に接触した特定社労士が読み解く(東京新聞)
*維新だけではなかった「国保逃れ」 司法書士グループ企業でも「節約術」疑惑 厚労省「看過できない状況」(東京新聞)
*国保逃れ指摘「すでに把握しています」と言いつつ野放し 国や年金機構「脱法行為」是正がニブ過ぎるのは…(東京新聞)
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