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2026年「在留資格厳格化」の深層:高市政権が放つ外国人材政策の転換点と企業の針路

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 5 日前
  • 読了時間: 5分
在留資格

現在、日本の外国人材政策は、戦後最大の転換期を迎えています。2026年4月、政府は「企業内転勤」の在留資格審査を大幅に厳格化しました。さらに、永住資格の取得要件についても、これまでにない厳しい基準が設けられようとしています。

人手不足が深刻化する一方で、なぜ政府は門戸を狭めるような政策を打ち出すのか。特定社会保険労務士として、現場の視点、政策の視点、そして未来の視点という「3つの視点」から、この激動の制度改正を解き明かします。注目すべきは、単なる「規制強化」ではなく、その裏にある「日本社会の再定義」です。


1.コンプライアンスの「実質化」 ―― 形式審査から実態調査への大転換

今回の改正で最も実務に影響を与えるのが、2026年4月から開始された「企業内転勤」の運用見直しです。

1. 「来日前」の勤務実態が徹底的に洗われる

これまでは、パスポートや在留証明書などの形式的な書類で審査が完了するケースも少なくありませんでした。しかし、今後は「来日前に本当にその企業で働いていたか」という実態が厳格に問われます。

具体的に追加された義務的提出資料は以下の通りです。

  • 外国での社会保険加入証明:ペーパーカンパニーによる不正取得を防ぐための強力な証拠となります。

  • 外国事業所の法人登記・納税状況:送り出し側の企業が実体のある活動を行っているかを精査します。

  • 日本での事業所の写真・登記簿:受け入れ側の受け入れ態勢を視覚的・法的に確認します。


2. 税務申告の不備が「一発アウト」に

特に注目すべきは、日本国外から給与が支払われていると主張し、日本での納税を回避していたケースへの対策です。今後は不適切な税申告が判明した場合、原則として在留資格の更新が認められなくなります。これは、社会保険労務士の立場から見ても、給与計算や税務処理の透明性が、これまで以上に企業の存続(=外国人材の確保)に直結することを意味しています。


2.国家戦略としての「選別」 ―― 高市政権が描く外国人政策のグランドデザイン

この厳格化の背景には、高市早苗政権による「適切な在留管理」という強い政治的意志があります。

1. 永住資格のハードルを「年収」で引き上げる

政府は2026年度中にも、永住資格の取得に関する収入要件を厳格化する結論を出す方針です。現在は目安として年収300万円程度とされていますが、これをさらに引き上げる案が浮上しています。また、2027年4月からは、5年の在留資格を持つ者に限定して永住申請を認めるなど、段階的に「長く、安定して貢献できる人材」へとターゲットを絞っています。


2. 政治勢力の圧力と「数値目標」の議論

日本維新の会や日本保守党といった勢力が、外国人比率の上限設定を求めていることも無視できません。

  • 維新の会:人口比率10%を超えると社会問題が顕在化すると警鐘を鳴らしています。

  • 参政党:市区町村単位で5%という具体的な上限を提起しています。自民党と維新の連立政権合意書には、2026年度中に数値目標を明記した「人口戦略」を策定することが盛り込まれました。

これは、単なる労働力確保の議論から、「日本という共同体をどう維持するか」という高度に政治的な議論へとフェーズが移ったことを示しています。


3.実務上の「死角」 ―― 企業が直面する新たなリスクと解決策

専門家として警鐘を鳴らしたいのは、これらの改正が「優秀な人材の流出」を招くリスクです。

1. 「高度専門職」への誘導とコスト増

企業内転勤のハードルが上がる一方で、政府は「高度専門職」など、厳しい審査を経た人材は積極的に受け入れる姿勢を見せています。しかし、これは中小企業にとっては、採用コストや法務コストの増大を意味します。2025年10月には、外国人経営者向けの「経営・管理」資格の資本金要件が6倍に引き上げられたことも、その象徴的な動きです。


2. 人手不足の加速というジレンマ

2025年末時点で、在留外国人は412万人、国内人口の3.3%に達しています。70年には1割を超えると推計される中、行き過ぎた規制は、現場の労働力不足をさらに深刻化させ、日本経済の首を絞めることになりかねません。実務上、企業は「誰でも良いから呼ぶ」時代から、「制度の変更を先読みし、コンプライアンスを武器にして人材を守る」時代へと適応する必要があります。


企業が取るべき「3つのアクション」

制度改正を恐れるのではなく、それを機に自社の労務体制を強化することが、メディアや社会から信頼される企業への近道です。

  1. 事前スクリーニングの強化

    海外法人の給与実態や社会保険加入状況を、日本の専門家が事前にチェックする体制を構築すること。

  2. 適切な納税・社会保険制度の運用

    税務不備による更新不可というリスクを排除するため、国際税務と労務の連携を密にすること。

  3. 長期的なキャリアパスの提示

    永住資格の要件が厳しくなるからこそ、企業が保証人や安定した給与体系を提示し、人材の定着を図ること。

2026年の改正は、日本社会が「外国人材と共に歩む覚悟」を問うている試練でもあります。私たちは、この複雑な制度の迷路を解き明かし、企業が安心して事業に専念できるようサポートを続けてまいります。


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