【速報/2027年4月1日施行】外国人雇用のルールが激変!新制度「育成就労制度」開始で、企業が今すぐ準備すべきこととは?
- 坂の上社労士事務所
- 10月2日
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2027年4月1日、日本の外国人材受け入れの歴史が大きく動きます。現行の技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」の施行日が、官報にて正式に決定されました。
この制度の最大の目玉は、これまで原則不可能だった労働者本人の意向による「転籍(転職)」が、一定の条件下で解禁されることです。これは、人材を受け入れる企業にとって、育成した人材の流出リスクにも、優秀な人材を獲得するチャンスにもなり得ます。
施行まで残りわずか。この歴史的な制度変更を専門家としてどう見るのか、企業が「選ばれる職場」になるために、今から何をすべきか。3つの視点から徹底解説します。
1.高まるコンプライアンスリスクと企業の防御策
新制度の根幹には、技能実習制度で問題となった人権侵害への反省があります。労働者の権利保護が強化され、「転籍の自由」が認められることで、企業の法的リスク管理はこれまで以上に重要になります。
特に注意すべきは、ハラスメントや重大な契約違反があった場合、労働者は期間の制限なく即時に転籍できる点です。これは、企業の労務管理体制が性善説では成り立たないことを意味します。万が一、不適切な労働環境と判断されれば、人材を失うだけでなく、企業の評判や行政からの指導にも直結しかねません。
今すぐ、外国人労働者のための雇用契約書の見直し、ハラスメント相談窓口の設置、そして何より法令を遵守するクリーンな職場環境の整備が、企業を守る最大の防御策となります。
*ご参考:外国人労働者向けモデル労働条件通知書(厚生労働省、愛知労働局)
2.人材は「コスト」から「価値ある投資」へ
「せっかく育てた人材が、1年や2年で他社に行ってしまうかもしれない」。これは経営者にとって大きな懸念でしょう。採用・育成コストが「掛け捨て」になるリスクをどう考えるべきでしょうか。
発想を転換し、人材を「コスト」ではなく「投資」と捉える経営が求められます。新制度では、企業に1年後の待遇向上策の作成を求めています。これは、単なる支出増ではありません。魅力的な給与やキャリアプランを提示することは、優秀な人材を惹きつけ、定着させるための最も効果的な投資です。
定着した人材が生み出す生産性の向上は、育成コストを上回るリターンをもたらす可能性があります。外国人材の育成に関連する助成金の活用なども視野に入れ、長期的な視点での費用対効果を考えることが、これからの時代を勝ち抜く鍵となります。
*ご参考:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
3.「選ばれる企業」になるための具体的な人事労務戦略
実務上、企業が最も力を入れるべきは、人事労務制度の抜本的な見直しです。企業は外国人材から「選ばれる側」になるという意識改革が不可欠です。まず、自社がどの分野に該当し、転籍制限が何年になるのかを正確に把握しましょう。
転籍制限【2年】の8分野
介護、建設、工業製品製造業、造船・舶用工業、自動車整備、飲食料品製造業、外食業、資源循環
転籍制限【1年】の9分野
ビルクリーニング、リネンサプライ、宿泊、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、林業、木材産業
その上で、以下の具体的な対策に今すぐ着手すべきです。
キャリアパスの明示
「育成就労」から「特定技能」へとステップアップできる明確な道筋を示し、将来への希望を持たせる。
就業規則・賃金規程の整備
誰が見ても公平で分かりやすいルールを作り、1年後の昇給などを具体的に約束する。
育成計画の魅力化
他社にはない手厚い日本語教育や資格取得支援を盛り込み、「この会社で成長したい」と思わせる計画を作成する。
*ご参考:外国人の方に人事・労務を説明する際にお困りではないですか?
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/tagengoyougosyu.html
2027年4月1日は、もう目前です。変化に対応し、外国人材と共に成長できる企業となるため、各分野の専門家への相談も視野に入れ、早期に準備を始めましょう。
<育成就労制度/制度概要や重要なお知らせ(出入国在留管理庁ホームページ)>
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