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【緊急警告】外国人雇用で7割超が違法状態!社労士(社会保険労務士)が解説する「労基署の送検強化」と企業防衛の3つの視点

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 9月29日
  • 読了時間: 4分

更新日:10月1日

外国人

厚生労働省が令和7年9月26日に公表した、外国人技能実習生および特定技能外国人の雇用事業場への監督指導結果は、日本の経営者に強烈な警告を発しています。

調査を受けた事業場のうち、技能実習生関係で73.2%、特定技能外国人関係で76.4%が労働基準関係法令に違反しているという、極めて深刻な実態が明らかになりました。特に、特定技能外国人に関する結果が初めて公表されたことは、行政がこの分野の監督・監視を本格的に強化する明確なシグナルです。

「知らなかった」「うっかりミス」では済まされない時代に入っています。この結果を受け、専門家の視点から、企業が直面する重大リスクと具体的な防衛策を3つの視点で解説します。


1. 法令違反が招く「送検」「刑事罰」「巨額賠償」の三重苦


外国人雇用における法令違反は、単なる行政指導で終わらず、企業の存続を脅かす法的リスクに直結します。

  • 送検リスクの増大

    違反が是正されない、または悪質と判断された場合、技能実習生関係で16件、特定技能外国人関係で7件がすでに送検されているように、経営者や法人が刑事責任を問われます(労働基準法違反、業務上過失致死傷など)。

  • 安全衛生違反の重さ

    違反上位の「使用する機械等の安全基準」は、重大事故につながるリスクが高く、労災発生時には企業の安全配慮義務違反として、巨額の民事損害賠償を命じられる可能性が高まります。

  • 未払い賃金の爆弾

    「割増賃金の支払」違反は、過去に遡って未払い分を一括で支払う義務が生じます。外国人労働者が集団で訴訟を起こす事例も増加しており、企業体力を一気に奪うリスクとなり得ます。


2. 賃金不備は「源泉徴収」「消費税」「損金算入」の税務リスク


労務管理の不備は、経営者が意図しない税務上のペナルティを引き起こします。

  • 源泉徴収漏れ・過少納付

    未払い残業代が発覚し、過去に遡って賃金を支払う場合、その時点で源泉徴収義務が発生します。適切に対応しないと、不納付加算税や延滞税が課せられ、企業の資金繰りを圧迫します。

  • 税務処理の複雑化

    外国人労働者に対する住居費補助や手当の処理において、所得税法や消費税法上の扱い(非課税、課税仕入れなど)を間違えると、税務調査で指摘される大きな要因となります。

  • 適正な経理の土台

    労務管理が適正に行われていない企業は、必然的に経理処理もずさんになりがちです。賃金台帳の不備は、税務調査における「ブラックサイン」の一つであり、他の費用の適正性まで疑われるきっかけとなります。


3. 企業防衛のための「労基署の指導重点項目」対策


今回の公表で示された違反上位項目こそが、企業が今すぐ対策すべき労基署の重点チェックポイントです。

違反上位項目

企業が今すぐすべき対策

① 安全基準違反

外国人労働者が母国語で理解できるように、作業手順書、機械設備の安全教育を図や動画で実施し、受講記録を徹底する。

② 割増賃金の支払

1分単位での労働時間管理を徹底し、賃金台帳を外国人労働者本人が理解できる形で提示。サービス残業は絶対に許容しない体制を確立する。

③ 医師等からの意見聴取

定期健康診断の結果を必ず産業医や医師に確認させ、意見に基づき「就業上の措置」(残業制限など)を講じた記録を整備する。

外国人労働者の雇用は、日本の人手不足を解決する鍵ですが、それには日本人と同等以上の適正な労働条件と、国際的な人権基準に基づく管理体制が必須です。この監督強化の波に乗り遅れないよう、社会保険労務士や行政書士のサポートを受けて、コンプライアンス体制を緊急で構築してください。


*参考資料*

<外国人技能実習生又は特定技能外国人を使用する事業場に対して行った令和6年の監督指導、送検等の状況を公表します>


坂の上社労士事務所/給与計算・就業規則・助成金・社会保険・労務相談・人事評価(東京都千代田区神田三崎町/全国対応)

代表 特定社会保険労務士 前田力也

水道橋オフィス 東京都千代田区神田三崎町2-17-5稲葉ビル203

国分寺オフィス 東京都国分寺市本町4-7-5サンプラビル2階

立川オフィス 東京都立川市曙町1-16-1 第3鐙坂ハウス3階

お問い合わせ support@sakanouehr.com 電話03-6822-1777

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