【令和8年度】年金額は4年連続プラス改定!しかし実態は「目減り」?社労士が徹底解説する「65万円の壁」と年金新時代の歩き方
- 坂の上社労士事務所

- 6 日前
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更新日:5 日前

厚生労働省より、令和8年度(2026年度)の年金額改定が正式に発表されました。今回の改定は、数字の上では「増額」ですが、その裏側には物価高騰に追いつかない給付抑制の仕組みと、働く高齢者のルールを劇的に変える決定が隠されています。
現役世代から受給世代まで、知っておくべき「3つの視点」で専門的に解説します。
1. 「増額」の裏にある冷徹な現実:物価高に負ける年金額
令和8年度の年金額は、前年度から国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金が2.0%の引き上げとなります。
項目 | 令和7年度(月額) | 令和8年度(月額) |
国民年金(1人分) | 69,308円 | 70,608円 |
厚生年金(夫婦2人分標準) | 232,784円 | 237,279円 |
【社労士の視点:名目プラス・実質マイナスの罠】一見喜ばしいニュースですが、中身を見ると厳しい現実が見えてきます。
物価は3.2%も上昇しているにもかかわらず、年金の伸びは最大2.0%に留まっています。
ルール上、物価変動が賃金変動(+2.1%)を上回る場合は、現役世代の負担能力に合わせて低い方の賃金指標が採用されるためです。
さらに、少子高齢化に伴う調整弁である「マクロ経済スライド」が4年連続で発動され、本来の伸びから0.1~0.2%が差し引かれました。
つまり、買い物に行けば「モノの値段は3%上がっているのに、年金は2%しか増えていない」ため、実質的な生活水準は昨年より低下することを意味します。
2. 「65万円の壁」へ大幅緩和!在職老齢年金の劇的変化
今回、実務上で最もインパクトが大きいのが、働きながら年金を受け取る際のルールである「在職老齢年金」の基準額引き上げです。
支給停止調整額:51万円(R7)⇒ 65万円(R8)へ大幅増
【改正の狙い:高齢者の就業抑制を打破】これまでは「給与と年金の合計が51万円」を超えると年金がカットされていましたが、令和8年度からはそのラインが65万円まで引き上げられます。
これは令和7年の制度改正により、法定の基準額自体が「50万円から62万円」へと底上げされたことが背景にあります。
政府には、人手不足が深刻化する中で「年金カットを気にして働く時間を抑える高齢者」を減らし、意欲あるシニア層を労働市場に繋ぎ止めたいという強い狙いがあります。
経営者や役員の皆様にとっては、報酬設定の自由度が高まる歴史的な緩和と言えるでしょう。
3. 厚生年金への「特別措置」と、上がり続ける保険料
今回の改定では、令和7年の法改正による「厚生年金の給付保護」が反映されている点も見逃せません。
マクロ経済スライドの緩和:本来、国民年金と同じく▲0.2%の調整を行うべきところ、厚生年金(報酬比例部分)については調整幅を1/3(▲0.1%)に抑制しています。これは物価高騰の中、受給者の生活に配慮した時限的な措置です。
国民年金保険料の改定:令和9年度の保険料は月額18,290円(前年比+370円)となることが決定しました。支払う側の現役世代にとっては、年々負担が増していく傾向が鮮明になっています。
【実務上の注意点】 障害者手当や児童扶養手当などは、年金とは異なり物価変動率(3.2%)がそのまま反映されます。受給している項目によって引き上げ幅が異なるため、家計管理や企業の福利厚生説明の際には注意が必要です。
年金制度は今、「現役並みに働くシニアを優遇しつつ、給付全体を緩やかに抑制する」という大きな過渡期にあります。今後の動向を注視し、制度を正しく活用する知恵が求められています。
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