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【法的観点からの警鐘】「最大28ヶ月もらえる」は詐欺のサイン!SNSで流行る「失業保険サポート」の危険な手口!「雇用保険給付の申請代行」に潜む不正受給リスクと法的責任の所在

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 12 時間前
  • 読了時間: 4分
失業保険

昨今、SNS等を中心に、雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)に関し、「最大28ヶ月の受給が可能」「会社都合退職への変更を指南する」と謳うコンサルティング業者とのトラブルが急増しております。

厚生労働省および国民生活センターが注意喚起を行っている通り、これらの業者が推奨する手法は、雇用保険法における「不正受給」の構成要件に該当する可能性が極めて高く、申請者自身が詐欺罪(刑法第246条)等の法的責任を問われるリスクがあります。

労働法の専門家である社会保険労務士の視点から、本件の法的問題点とリスクを3つの論点に整理して解説します。


1. 「最大28ヶ月受給」という誇大広告の法的矛盾

一部業者が謳う「最大28ヶ月」という数字は、公共職業訓練を受講した場合の「訓練延長給付」や「個別延長給付」等の特例措置を恣意的に解釈し、あたかも全員に適用されるかのように誤認させるものです。

雇用保険法上の「所定給付日数」は、被保険者期間、離職時の年齢、離職理由に基づき厳格に法定されています(雇用保険法第22条)。不確定要素が多い行政処分(給付決定)に対し、確実な成果を約束して勧誘する行為は、消費者契約法上の「断定的判断の提供」に抵触する恐れがあり、契約そのものが取り消しうる瑕疵を含んでいます。


2. 虚偽の診断書取得による「特定理由離職者」認定の違法性

最も看過できないのが、就労可能な状態であるにもかかわらず、心療内科等での受診を指示し、虚偽の事実に基づいて「就労不能」等の診断書を取得させる手口です。

これは、給付制限期間(2ヶ月等)の免除や、所定給付日数の優遇を受けられる「特定理由離職者」への該当を意図的に作出する行為です。事実に基づかない申請を行い、本来受給権のない給付金を受領することは、雇用保険法第10条の4に定める「偽りその他不正の行為」に他なりません。

発覚した場合、行政処分として以下の措置が講じられます。

  • 支給停止:以後の給付を受ける権利の剥奪

  • 返還命令:不正受給した金額の全額返還

  • 納付命令:返還額の最大2倍相当額の納付(いわゆる3倍返しのペナルティ)

さらに、悪質な事案については、所轄の労働局により警察当局へ刑事告発が行われるケースも存在します。


3. コンプライアンス・リスクと高額な違約金

これらの申請サポート契約は、成功報酬として受給額の数割を請求するものが一般的ですが、解約を申し出た際に法外な違約金を請求される事例が散見されます。

また、仮に一時的に給付金を受給できたとしても、それが不正な手段によるものである以上、申請者は将来にわたり「不正受給の発覚」という法的リスクを負い続けることになります。これは個人のキャリアにおける重大なコンプライアンス違反であり、再就職先等での信用失墜にも繋がりかねません。


雇用保険制度(失業保険)の趣旨を正しく理解し、適正な手続きを

雇用保険制度は、労働者の生活及び雇用の安定を図るための公的保険制度です。法の不知は免責されず、業者の指南であったとしても、申請書類に署名・提出した申請者本人の責任は免れません。

真正な事実に基づく申請であれば、ハローワーク(公共職業安定所)の窓口において無料で、かつ適法に手続きが完了します。専門家として、甘言を用いた不正への加担は厳に慎むよう警告いたします。


*ご参考:「失業保険の金額・期間を増やせる」とうたう申請サポートにご注意ください(東京労働局)


*ご参考:失業保険の給付額等を増やすことができるとうたう申請サポートに注意―不正受給を促すかのようなケースも!(独立行政法人国民生活センター)


坂の上社労士事務所/給与計算・就業規則・助成金・社会保険・労務相談・人事評価(東京都千代田区神田三崎町/全国対応)

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