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2026年春の激震!「65万円の壁」がシニアの働き方を変える【在職老齢年金制度/日本年金機構】

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 2 日前
  • 読了時間: 5分
在職老齢年金

2026年4月、日本のシニア労働市場と年金制度にとって、歴史的な転換点が訪れます。これまで多くの働く高齢者を悩ませてきた「働くと年金がカットされる」という在職老齢年金制度が大幅に緩和されます。

社労士として、今回の改正が単なる金額変更にとどまらず、個人のライフプランや企業の採用戦略にどのような地殻変動を起こすのか、3つの視点から徹底解説します。


【今回改正の核心】

  1. 改正の概要

    年金(基本月額)と賃金(総報酬月額相当額)の合計額が、現在の月額51万円から、2026年4月より 65万円 へと一気に14万円も引き上げられます。

  2. 実施時期

    2026年(令和8年)4月1日から施行されます。

  3. 背景にある法律

    令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)に基づいています。

  4. 対象範囲

    65歳以上の老齢厚生年金受給者で、厚生年金保険に加入しながら働く方が対象です。


1. 【制度の本質】政府の狙いと「生涯現役社会」への布石

今回の改正は、単なる高齢者への優遇措置ではありません。日本の深刻な労働力不足を背景とした、極めて戦略的な労働政策です。

  • 「就業抑制」の打破

    これまでの51万円という基準は、管理職や高度専門職として働くシニアにとって、すぐに到達してしまう低い壁でした。この壁を意識して、わざと労働時間や責任をセーブする「働き控え」が社会的な損失となっていました。

  • 健康寿命への対応

    平均寿命だけでなく健康寿命も延びる中、意欲ある高齢者が「年金制度を支える側」として長く活躍できる環境を整えることが目的です。

  • 制度の将来像

    在職老齢年金制度は、かつては「所得の多い人には年金を我慢してもらう」という考え方でした。しかし、現在は「働くことを阻害しない制度」へとその役割を変えています。今後、さらなる基準額の引き上げや制度撤廃の議論も加速すると予想されます。


2. 【実務・資産設計】年収800万円でも年金が「全額支給」される衝撃

具体的な数字で見ると、今回の改正がいかに画期的であるかがわかります。

  • 具体的シミュレーション(賃金46万円・年金10万円の場合)

    1. 2026年3月まで

      合計56万円となります。基準額51万円を5万円オーバーしているため、その半額の「2万5千円」が毎月カット(支給停止)されます。

    2. 2026年4月から

      合計56万円ですが、新基準額65万円の範囲内です。結果として、年金10万円が1円も削られず全額受給できるようになります。

  • 対象となる「年金」の定義

    調整の対象となるのは「老齢厚生年金」のみです。老齢基礎年金(国民年金部分)は、たとえ現役並みの高年収があっても一切減額されません。

  • 「総報酬月額相当額」の計算

    月々の給与(標準報酬月額)だけでなく、直近1年間のボーナスを12で割った金額も含まれます。賞与が多い方は、この計算を誤ると予期せぬ支給停止が発生するため注意が必要です。

  • 逆転現象は起きない

    65万円を超えてさらに稼いだとしても、給与と受取年金額の合計はなだらかに増え続ける仕組みになっており、「働いたら損をする」という逆転現象は発生しません。


3. 【経営・人事戦略】シニアの「高技能・高単価」採用が可能に

企業の人事担当者にとっても、この改正は採用戦略をアップデートする絶大なチャンスです。

  • ハイクラスシニアの確保

    基準額が65万円まで上がれば、月給50万円以上の条件でも年金受給との両立が容易になります。これにより、高い技術や人脈を持つシニア層を「フルタイム」や「高単価コンサルタント」として繋ぎ止めることが可能になります。

  • 定年後再雇用の賃金設計

    多くの企業が「年金が止まらない範囲」で再雇用賃金を設定してきましたが、今後はより柔軟で、成果に見合った高い賃金設定が可能になります。

  • 福利厚生としての情報提供

    従業員に対し「2026年4月からは年金が減りにくくなる」という正しい情報を提供することは、シニア層のエンゲージメント向上に直結します。

  • 実務上の留意点

    「ねんきんネット」で新基準(65万円)での試算ができるようになるのは、改正後の2026年4月からとされています。それまでは社労士などの専門家による手計算でのシミュレーションが、シニア社員の安心に繋がります。

今後の動向と実務上のアドバイス【在職老齢年金制度/日本年金機構】

今回の改正で「65万円」という大きな枠が用意されましたが、この基準額は固定ではありません。毎年度、賃金や物価の変動に応じて改定される予定です。

また、年金は全額受給できるようになっても、働く以上は「社会保険料(健康保険・厚生年金保険)」の負担や「所得税・住民税」が発生します。手取り額を最大化するためには、単に基準額を見るだけでなく、社会保険料の等級や税率のバランスを含めた、包括的なマネープランニングが必要です。

「生涯現役」が当たり前になる時代。この制度改正を追い風に、シニア世代の皆様がその才能を存分に発揮し、企業がその力を最大限に活かせるよう、当事務所も全力でサポートいたします。


*ご参考:[令和7年年金制度改正関係]在職老齢年金制度が改正されます


坂の上社労士事務所/給与計算・就業規則・助成金・社会保険・労務相談・人事評価(東京都千代田区神田三崎町/全国対応)

マネーフォワード公認プラチナメンバー/マネーフォワード給与・勤怠 代表 特定社会保険労務士 前田力也

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電話03-6822-1777

今回の改正に伴う「賃金シミュレーション」や、シニア社員向けの「説明会・個別相談」の実施をご検討でしょうか?具体的な提案が必要であれば、いつでもお声がけください。

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