【令和8年度/2026年】全国加重平均1,177円へ。過去2番目の大幅引き上げとなる地域別最低賃金改定と企業がすべき実務対応を社労士(社会保険労務士)が解説
- 坂の上社労士事務所

- 2 日前
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令和8年度の地域別最低賃金の改定額が、全ての都道府県で答申されました。厚生労働省の発表によると、改定額の全国加重平均額は昨年度から56円引き上げられ、1,177円となります。この引き上げ幅は、昭和53年度に現在の目安制度が始まって以降で2番目に高い水準です。
本記事では、この歴史的な大幅改定について、社会保険労務士の視点から法律や制度の改正内容、政府の狙い、今後の動向、そして企業が直面する実務上の注意点について、深く、かつわかりやすく解説いたします。
【要約】社会保険労務士が読み解く!令和8年度最低賃金改定・3つの視点
まず、今回の改定の要点を3つの視点で要約します。
改正の内容:全国加重平均56円の引き上げと地域間格差の縮小
全国加重平均で56円の大幅引き上げとなり、47都道府県すべてで54円から65円の引き上げが実施されます。最高額(東京都:1,280円)に対する最低額(宮崎県など:1,085円)の比率は84.8%となり、12年連続で格差が縮小しています。
政府の狙い:物価高騰への対応と地方の労働力確保
急激な物価高騰から労働者の生活を守るとともに、地方の引き上げ率を都市部よりも高く設定することで賃金格差を縮小し、地方からの労働力流出を防ぐ強い意図が反映されています。
実務上の注意:発効日の確認と月給者の時間単価の再計算
発効日は令和8年10月1日から12月2日までの間に、都道府県ごとに順次適用されます。時給者だけでなく、月給者であっても時間あたりの賃金が最低賃金を下回っていないか、厳密な確認が必要です。
1.制度改正の内容と政府の狙い・改定の経緯
過去2番目の引き上げ幅が意味するもの
今回の答申では、47都道府県すべてにおいて54円から65円の引き上げが示されました。全国加重平均額は昨年度の1,121円から1,177円へと56円増加します。 都道府県別の内訳を見ると、最も引き上げ額が大きかったのは佐賀県の65円です。一方で、東京都や大阪府などの都市部では54円の引き上げにとどまりました。この結果、最高額に対する最低額の比率は昨年度の83.4%から84.8%へと上昇し、都市部と地方の賃金格差は着実に縮小しています。
改定の経緯と政府の狙い
最低賃金は、中央最低賃金審議会が目安を示し、各地方最低賃金審議会が都道府県ごとの実情を踏まえて調査・審議し、答申を出すという手順で決定されます。 この大幅な引き上げの背景には、生活必需品の価格上昇が続く中、賃金の引き上げによって労働者の実質的な生活水準を維持し、消費の活性化を図る政府の狙いがあります。また、地方における高い引き上げ幅は、若年層を中心とした都市部への人口流出に歯止めをかけ、地方企業の労働力を確保するという喫緊の課題に対応するための措置です。
2.実務上の注意点と深く掘り下げる法的対応
最低賃金の改定が答申された今、企業は直ちに以下の実務的な対応を開始しなければなりません。
1.発効日の確認と遡及適用の防止
答申された改定額は、都道府県ごとに令和8年10月1日から12月2日までの間に順次発効されます。たとえば、東京都や大阪府などは令和8年10月1日に発効予定ですが、沖縄県は令和8年12月2日の発効が予定されています。自社の事業所が存在する都道府県の発効日を正確に把握し、その日以降の労働に対する賃金は、必ず新しい最低賃金以上で計算しなければなりません。
2. 月給者の「時間単価」の確認
時給制の労働者はもちろんですが、最も注意が必要なのは「月給制の正社員や契約社員」です。月給制の場合、以下の計算式で時間あたりの賃金を算出し、最低賃金と比較する必要があります。
(月給 - 除外される手当) ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額
最低賃金の計算対象となる賃金からは、家族手当、通勤手当、時間外割増賃金などが除外されます。基本給が低く設定され、多様な手当で総支給額を補っている企業は、除外手当を差し引いた結果、時間単価が最低賃金を下回ってしまう危険性が高いため、早急な給与計算の見直しが求められます。
3.求人票と雇用契約書の見直し
現在募集を出している求人票の給与額が、改定後の最低賃金を下回っていないか、ハローワークや求人媒体の記載を直ちに見直す必要があります。また、最低賃金に合わせて給与を引き上げる場合、対象となる従業員に対して雇用契約書や労働条件通知書の再交付を行うことが、適切な労務管理において重要です。
今後の動向
少子高齢化に伴う構造的な労働力不足を背景に、政府による最低賃金の引き上げ方針は今後も継続すると予想されます。労働市場全体での賃金相場が上昇傾向にある中、企業は法令遵守を徹底した上で、適切な人員配置や業務の最適化を図り、変化する賃金水準に対応できる経営基盤を構築していくことが求められています。
全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました~答申での全国加重平均額は昨年度から56円引上げの1,177円~(厚生労働省)
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