【令和8年熊本地震】熊本県の企業様へ。雇用調整助成金「特例措置」の申請の流れと注意点を社労士がやさしく解説/復興を心より願っております
- 坂の上社労士事務所

- 1 日前
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令和8年7月28日に発生した熊本地震により、被害に遭われた企業様、従業員の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
地震の影響で「お店を開けられない」「工場が動かせない」「お客様が来ない」など、事業を縮小せざるを得ない状況に直面している経営者様も多いことと存じます。従業員を休ませる場合、会社は原則として「休業手当」を支払う必要がありますが、今の厳しい資金繰りの中では非常に重い負担となります。
そこで、その休業手当の一部を国が補助してくれる「雇用調整助成金」という制度があり、今回の地震を受けて、要件を大幅に緩くした「特例措置」が令和8年8月25日にスタートしました。
本記事では、この特例措置について、難しい専門用語を使わずに、熊本県の企業様が「今、何をすればいいのか」「何に気を付けるべきか」を社会保険労務士がわかりやすく解説します。
1.専門用語なし!今回の「特例措置」の3つのポイント
通常、この助成金をもらうには厳しい条件がありますが、非常事態に合わせて「3つの特別なルール」が適用されます。
①「売上などの落ち込み」の証明が1か月分でOKに
通常は「過去3か月分」の売上が前年より下がっていることを証明する必要がありますが、今回は「最近1か月分」だけで認められます。地震発生直後の急激な売上低下をすぐに反映させるための国の配慮です。
②直接の被害がなくても「間接的な被害」で申請できる
「自社の建物は無事だったから対象外かも」と諦める必要はありません。以下のような「間接的な理由(経済上の理由)」で仕事が減った場合も対象になります。
・風評被害や交通網のストップでお客様が来ない
・取引先が被災して、材料が入ってこない
・停電や断水で営業できない
・壊れた機械の修理業者が手配できず、仕事ができない
③対象となる期間
地震が起きた「令和8年7月28日から、令和9年1月27日まで」の間にスタートした休業が対象です。この期間内で上限100日分まで補助を受けることができます。
2.熊本県の企業「だけ」に適用される大きなメリット
さらに、熊本県内の事業所には、全国一律の措置とは別に「熊本限定の追加措置」が用意されています。
「残業」をしても補助金が減らされない(残業相殺ルールの撤廃)
通常、会社全体で休業をしている日に、一部の社員にだけ残業をさせると、「残業した時間分」だけ助成金が減らされてしまうルールがあります。しかし被災地では、「お店の片付けや復旧作業のために一部の社員には残業してもらうが、営業自体はできないので他の社員は休ませる」という状況がどうしても発生します。今回はこの実態に合わせ、残業しても助成金が減額されないルールになりました。
3.わかりやすい「申請の流れ」と、絶対に知っておくべき注意点
【申請の基本的な流れ】
ステップ1:休業の決定と、従業員への説明(休業手当をいくら払うか等を取り決める)
ステップ2:実際に休業させ、給与日に「休業手当」を従業員へ支払う
ステップ3:出勤簿や給与明細などを整理し、労働局(ハローワーク)へ書類を提出する
ステップ4:審査の後、会社に助成金が振り込まれる
【注意点①:「事後提出」の落とし穴に注意】
通常、この助成金は「休業させる前(事前の計画届)」に労働局へ書類を出さなければなりませんが、今回は特例として「休ませた後(事後提出)」でも申請が認められています。
一見便利ですが、ここに落とし穴があります。「とりあえず休ませて手当を払い、後から申請しようとしたら、要件を満たしておらず助成金が1円も出なかった」というケースです。この場合、支払った休業手当はすべて会社の自己負担になってしまいます。事後提出ができるからこそ、休業を決める最初の段階で「自社が本当に要件を満たしているか」を慎重に確認する必要があります。
【注意点②:書類は「5年間」絶対に捨てないでください】
助成金をもらった後、タイムカード(出勤簿)や給与明細、賃金台帳などの関係書類は、支給決定日の翌日から「5年間」保管する義務があります。後日、労働局の調査が入った際にこれらの書類がなく、労働時間が正しく管理されていないとみなされると、助成金の全額返還を求められる恐れがあります。復旧の混乱期であっても、日々の勤怠記録だけは正確に残しておいてください。
4.今後の見通しと、事業再建に向けて
雇用調整助成金は、あくまで「従業員の雇用を守るため」のお金であり、会社の運転資金そのものを直接潤すものではありません。復興に向けた事業再建のためには、中小企業庁が設けている「災害復旧貸付」や「セーフティネット保証4号」などを活用し、当面の現金を確保することが非常に重要です。
私たち社会保険労務士が人件費負担の軽減(助成金)をサポートし、税理士や金融機関が資金繰りをサポートする。こうした専門家をフル活用して複合的な対策を立てることが、この難局を乗り越える鍵となります。少しでも不安があれば、一人で抱え込まずに専門家へご相談ください。
最後になりますが、令和8年熊本地震により被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧・復興を心から願っております。
令和8年熊本地震に伴う雇用調整助成金の特例を実施します(厚生労働省)
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