【令和8年税制改正】「178万円」の衝撃!課税最低限の爆上げで変わる日本の労働市場と企業の生存戦略
- 坂の上社労士事務所

- 24 時間前
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今回の税制改正法案は、物価高への対応、人手不足の解消、そして「強い経済」の実現という、日本が抱える喫緊の課題を解決するための強力な意思表示です。
これまで多くのパート・アルバイトの方が意識していた「税金の壁」が大幅に上昇し、企業の採用戦略や給与設計は根本的な見直しを迫られています。本稿では、この激動の改正を「働き方の変革」「企業の攻めの投資」「家計と将来負担」という3つの視点で深掘りします。
1.労働市場のゲームチェンジ!課税最低限「178万円」への大転換【令和8年税制改正】
今回の改正における最大の目玉は、中低所得層への配慮を目的とした所得税の課税最低限の特例的な引き上げです。
⑴なぜ「178万円」なのか?政府の狙いと仕組み
政府は物価上昇に負けない「手取り」を確保するため、異例の措置を講じました。
物価連動制の導入
2年ごとに物価上昇に合わせて基礎控除等の額を引き上げる仕組みを導入します。
基礎控除等の引き上げ
まず基礎控除の額と給与所得控除の最低保障額をそれぞれ4万円ずつ引き上げます。
特例的な先取り引き上げ
令和8年・9年分の時限措置として、合計所得金額が489万円(給与収入595万円相当)以下の場合、基礎控除をさらに42万円、給与所得控除の最低保障額を5万円上乗せします。
178万円という新基準
これらを合算することで、所得税の課税最低限を従来の基準から一気に178万円まで引き上げるという、国民の期待を超える「攻め」の減税が行われます。
⑵社会保険労務士が斬る「実務上の激変」
これまでは一定の年収を超えないよう年末にシフトを減らす「働き控え」が現場の大きな課題でした。
人手不足解消の切り札
178万円まで非課税枠が広がることで、従業員は税負担を気にせず、より長時間働けるようになります。
実務上の注意点
ただし、これはあくまで「所得税」の話です。社会保険の扶養枠(106万円・130万円といった基準)については、今後の議論や厚生労働省側の動きを慎重に見守る必要があります。税制上のメリットを活かしつつ、社会保険料の負担とのバランスをどう取るか、従業員へのきめ細やかな説明が求められます。
2.企業の生存戦略「賃上げから生産性向上への投資」【令和8年税制改正】へ
「強い経済」を実現するため、企業に対する減税のベクトルが「賃上げ」から「設備・技術投資」へとシフトしています。
⑴賃上げ促進税制の縮小と設備投資の創設
賃上げ税制の廃止(大企業)
大企業向けの賃上げ促進税制は令和8年3月31日をもって廃止されます。
大胆な設備投資支援
高い生産性の確保に資する設備を導入した場合、即時償却または税額控除(7%・4%)を適用できる新措置が創設されます。
研究開発税制の強化
特にAIや量子技術などの「戦略技術領域」に対し、最大50%という極めて高い税額控除が設定されます。
⑵経営者が今すぐ考えるべきこと
単に給与を上げるだけでは税制メリットを享受しにくくなります。最新設備の導入やDX(デジタルトランスフォーメーション)によって「少ない人数でより高い価値を生む」体制を整えることが、これからの企業経営における最大の節税対策であり、生存戦略となります。
3.個人の資産形成と将来の負担「光と影」【令和8年税制改正】
減税による手取り増の一方で、国家の安全保障や公平性を担保するための新たな負担も明示されています。
⑴防衛特別所得税の創設と負担の調整
新たな付加税
令和9年1月より、所得税額に対して税率1%の防衛特別所得税が課されます。
復興特別所得税とのスライド
足元での家計負担増を避けるため、復興特別所得税の税率を1%引き下げ、その分、課税期間を10年延長するという調整が行われます。
⑵次世代・富裕層・公平性への配慮
NISAの拡充
つみたて投資枠の口座開設可能年齢が「17歳以下」まで拡充され、若年層からの資産形成を強力に後押しします。
ひとり親控除の拡充
控除額が38万円(現行35万円)に引き上げられ、生活基盤の支援が強化されます。
富裕層への課税強化
基準所得金額が1.65億円(現行3.3億円)を超える極めて高い所得層に対し、適用税率を30%(現行22.5%)に引き上げ、負担の適正化を図ります。
実務担当者が備えるべき「今後の動向」
本法律案の施行日は令和8年4月1日です。企業の人事労務担当者は、令和8年分の年末調整から適用されるこの大規模な変更に対応するため、以下の準備が必要です。
就業規則と賃金規定の再点検
178万円の壁を見据え、パート・アルバイトの契約更新やシフト設計をどう構築し直すか。
システムのアップデート
防衛特別所得税の導入や、基礎控除の大幅な変動は、手計算では対応不可能です。マネーフォワード等のクラウド給与計算システムの活用が必須となります。
従業員教育
「なぜ手取りが変わるのか」「どう働けば最も得か」を従業員が正しく理解できるよう、社内説明会の開催などを検討してください。
今回の改正は、日本の働き方をアップデートする大きなチャンスです。制度の複雑さに振り回されることなく、この変化を「優秀な人材を確保し、生産性を高める好機」と捉え、攻めの姿勢で準備を進めていきましょう。
*ご参考:「所得税法等の一部を改正する法律案」について(財務省)
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