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衝撃!雇用市場の「黄信号」!「人手不足」から「コスト抑制」へ舵を切る!有効求人数26カ月連続減少の裏側と企業が取るべき戦略

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 10月4日
  • 読了時間: 4分
有効求人数

2025年8月、雇用市場に「黄信号」が灯りました。厚生労働省の発表によると、有効求人数は26カ月連続で前年同月比マイナス(3.6%減)となり、求人倍率も1.20倍に低下。同時に完全失業率は2.6%へ5カ月ぶりに上昇しました。このデータは、単なる景気後退ではなく、企業が賃上げによる人件費高騰に耐えきれず、「人手確保」から「コスト抑制」へと戦略をシフトさせている深刻な実態を映し出しています。特に、正社員・パート問わず求人絞り込みの動きが顕著で、雇用市場は大幅な悪化トレンドに入った可能性が高いと言えます。


1. リスク回避と雇用契約の見直し戦略

「非自発的な離職者」の増加は、企業側の業績悪化に伴う解雇や雇い止めといった労働紛争のリスク増大を示唆しています。企業は安易な解雇を避け、就業規則や退職金規程に基づいた適正な人員整理プロセスを踏む必要があります。また、コスト抑制のために賃下げや労働条件の不利益変更を行う際は、労働契約法上の明確な根拠と、労働者の個別同意が不可欠です。不十分な手続きは、「不当解雇」「不利益変更の無効」として高額な賠償責任につながりかねません。今のうちに契約内容の適法性を徹底的に見直しましょう。


2. 高騰する人件費を乗り切る「税務戦略」

人件費の上昇は避けられません。企業は、「賃上げ」を「コスト」ではなく「投資」と捉え直す必要があります。生産性向上に資するIT導入や省力化投資を行い、「中小企業投資促進税制」などの優遇措置を最大限活用することで、実質的なコスト負担を軽減できます。また、「所得拡大促進税制」(賃上げ税制)の要件を満たす適切な賃金設計と、正確な税務申告を行うことで、法人税等の控除を受け、資金繰りを安定化させることが重要です。人件費高騰時代は、税務上のメリットを追求する戦略的な経営が求められます。

*ご参考:中小企業投資促進税制

*ご参考:中小企業向け「賃上げ促進税制」


3. 制度活用と生産性向上のための「労務戦略」

有効求人数の減少と賃上げ圧力の板挟みで、企業は「採用の質の向上」と「既存社員の定着」が急務です。

  1. 助成金活用による採用・育成コストの軽減

    キャリアアップ助成金など、非正規雇用の正社員化や賃金改定に使える助成金を戦略的に活用し、人件費上昇分を補填しながら雇用を安定化させましょう。

    *ご参考:「賃上げ」支援助成金パッケージ

    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/package_00007.html

  2. 人事評価制度と賃金体系の刷新

    最低賃金引き上げに対応しつつ、生産性や成果が公平に反映される人事評価制度を構築することで、社員のモチベーションを維持・向上させ、離職率の低下につなげます。

  3. 労働時間の適正化と労務リスク管理

    業務効率化を図り、残業代削減と労働時間管理の徹底を行うことは、コスト抑制と同時に、働き方改革関連法遵守という労務リスク管理に直結します。


項目

8月の変化

社労士前田の読み

有効求人数

26カ月連続減少

賃上げによる「コスト抑制」への企業戦略転換。

完全失業率

0.3ポイント上昇(2.6%)

「より良い条件」を求める自発的離職と、企業業績悪化に伴う非自発的離職の増加。

募集賃金

パート・正社員ともに上昇

採用難を背景とした賃金上昇圧力は依然強く、企業は採用しても人件費負担が増すジレンマ。

この状況を乗り切るには、場当たり的なコストカットではなく、法的なリスクを回避し、税制優遇を活用し、労務管理のプロと共に「生産性の最大化」を目指す複合的な戦略が不可欠です。


一般職業紹介状況(令和7年8月分)について(厚生労働省)



坂の上社労士事務所/給与計算・就業規則・助成金・社会保険・労務相談・人事評価(東京都千代田区神田三崎町/全国対応)

代表 特定社会保険労務士 前田力也

水道橋オフィス 東京都千代田区神田三崎町2-17-5稲葉ビル203

国分寺オフィス 東京都国分寺市本町4-7-5サンプラビル2階

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お問い合わせ support@sakanouehr.com 電話03-6822-1777

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