【激震】国民医療費48兆円の衝撃!高額療養費凍結で企業の保険料負担増は確定!「綱渡り健保」と「現役世代の手取り圧迫」の危機!
- 坂の上社労士事務所

- 10月10日
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厚生労働省の公表によると、令和5年度の国民医療費は48兆915億円で過去最高となり、前年度から3.0%増加しました。国民皆保険が始まった1961年には1対11だった高齢者人口と生産年齢人口の比率が、2024年10月時点でほぼ1対2に悪化しており、現役世代の負担は限界に達しています。この医療費膨張が、現役世代と企業が負担する健康保険料に回っている現状やリスクを、社労士前田が独自視点で切り込みます。
1.賃上げはどこへ?保険料率「解散ライン」突入の危機
①健保組合の4分の1が「解散水準」!企業と家計の負担リスク
国民医療費の約50%は保険料(事業主負担22.0%、被保険者負担28.2%)で賄われており 、その増加はダイレクトに社会保険料率の上昇を招いています。
・高齢者への「仕送り」増大
健保組合が負担する高齢者医療への拠出金は2024年度に過去最高の3兆8,591億円に達し、前年度の支出増加分の約7割を占めました。この拠出金は25年度には現役世代1人あたり約13.7万円と、制度開始時の約2倍に膨らむ見込みです。
・綱渡りの健保財政
健保組合の平均保険料率は過去最高の9.31%に上昇し、約4分の1(24.2%)の組合が解散ラインとされる10%以上に達しています。このままでは、多くの健保組合が協会けんぽへの移行を迫られ、企業独自の人間ドック補助などの福利厚生が失われる可能性があります。
・賃上げ効果の消失
健保組合の収入増の約5割は賃上げによるものですが、そのほとんどが高齢者医療への仕送りの膨張に食い潰されています。賃上げが可処分所得の伸びを抑え、企業の賃上げ余力自体も狭めている現状は、看過できない危機だと指摘します。
②高額療養費制度の見直し凍結は「負担増確定」
高額療養費制度の上限引き上げが、患者団体や与党内の反発を受け全面凍結されました。これにより、給付圧縮によって見込まれていた現役世代の保険料負担軽減(最大年5,000円)の効果が失われ、負担増が事実上確定しました。
2.公費の限界と「高額医療」費用対効果の検証
国民医療費の37.5%を賄う公費(税金)の負担も限界に達しています。高額な医療技術の登場は、医療の質を高める一方で、財政の持続可能性を脅かしています。
①1000万円超の高額医療が8%増!税金の使い道のチェックを
・高額医療の急増
健保組合における1カ月1,000万円以上の高額医療費が前年度比8%増の2,300件超と過去最多になりました。背景には、がんや難病に対する高額な新薬の保険適用があります。最高額は1億6,900万円弱に達しています。
・費用対効果の検証の必要性
医療費の過度な膨張を抑えるには、効果に応じた適正な薬価設定や、費用対効果の検証が欠かせません。財務省は、この検証の対象範囲が限定的であるとして改善を強く求めています。限られた公的資源を最大限に活かすため、高額な医療技術への公費投入について、厳格な費用対効果の検証を推進すべきです。
②政治的難題の高額療養費凍結
高額療養費の見直し凍結は、医療費の適正化という「一里塚(大きな目標や遠大な仕事を達成していく途中の通過点や目印となるもの)」を失わせました。自民党の高市新総裁が直面するこの難題は、OTC類似薬の保険適用見直しや高齢者の窓口負担拡大といった、他の手つかずの改革にも影響を及ぼし、社会保障改革全体の停滞を招く危険性があります。
3.「公正な負担」と「医療の質の確保」
医療システムの改革は、質、効率、公正、持続可能性、レジリエンス(回復力)の実現をゴールとしますが、その核心は、公正な負担と医療のプロフェッショナリズムの維持にあります。
75歳以上2割負担の意義と「情報の非対称性」の責任
・公正な負担への一歩
75歳以上の医療費窓口負担を支払い能力に応じ2割に引き上げた措置は、年齢に関係なく負担を求める仕組みへの一歩として、公正性を確保する上で評価できます。しかし、依然として高齢者の大半は1割負担のままであり、改革の踏み込みは甘いと指摘せざるを得ません。
・医療の質を支えるプロ意識
医療では、患者が自らの力のみで医療の質を評価することが難しい「情報の非対称性」が存在します。このため、医療の根幹は医療者の信頼と職業倫理(プロフェッショナリズム)に支えられています。
・改革とリスク
保険適用外の縮小や窓口負担の引き上げといった改革が、患者の治療中断を招いたり、医療者の経済的インセンティブの議論がプロフェッショナリズムを損なったりすれば、それは医療の質と安全の低下という法的リスクにつながります。財源議論の裏で、患者中心の質の高い医療が維持されるよう、制度設計と監督が厳格に行われることを求めます。
*ご参考:令和5(2023)年度 国民医療費の概況
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