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【緊急解説】「とりあえずチェックして提出」は危険です!令和7年度・被扶養者資格再確認で見落としがちな「隠れリスク」と「3つの落とし穴」を社労士が徹底解説

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 3 日前
  • 読了時間: 4分
被扶養者

今年も協会けんぽから、あの「封筒」が届く時期がやってきました。令和7年度の「被扶養者資格再確認」。

多くの企業では、「毎年恒例の事務作業でしょ?」「社員に○をつけてもらうだけでしょ?」と軽く捉えられがちです。

しかし、現場を預かる社労士の視点から申し上げますと、この認識は非常に危険です。特に今年度は、協会けんぽ側が「扶養解除の可能性が高い対象者」をデータ分析で絞り込んでリストを送付しています。つまり、「疑われている」状態からのスタートなのです。

今回は、12月12日の提出期限に向けて、会社を守り、社員とのトラブルを防ぐために絶対に知っておくべきポイントを、具体的すぎる事例とともに解説します。


①その収入、「交通費」を含めて計算していますか?【被扶養者資格確認】

~「税金の扶養」と「社会保険の扶養」は別物です~

もっとも多いトラブルが、年末調整(税金)との混同です。「103万の壁」という言葉が有名ですが、社会保険(健康保険)の基準は「130万円の壁」です。しかし、ここで多くの人が落とし穴にハマります。

  • 税金(所得税): 交通費は非課税のため、収入に含まないケースが多い。

  • 社会保険: 交通費も「収入」に含みます。


【具体的リスク事例】

パート勤務のAさん。「時給×労働時間」では年収125万円で、130万円以内に収めているつもりでした。しかし、遠方からの通勤で月1万円(年12万円)の交通費が支給されていました。社会保険上の年収は、125万+12万=137万円となり、扶養アウトです。今回の再確認でこれが発覚すると、遡及して資格喪失となり、過去に協会けんぽが負担した医療費(7割〜9割分)を、後から数十万円単位で返還請求されることになります。これは社員にとって大打撃です。


②別居の家族への「仕送り」、証拠はありますか?【被扶養者資格確認】

~「手渡し」は認められません~

実家の親御さんや、地方の大学に通うお子さんを扶養に入れているケースです。別居している家族を扶養する場合、「被保険者(社員)からの仕送りで生計を維持していること」が条件となり、さらに「仕送り額 > 別居家族の収入」である必要があります。


【具体的リスク事例】

社員Bさんは、別居の実母を扶養に入れています。「毎月帰省した時に、現金で3万円手渡しているから大丈夫」と主張しました。 しかし、協会けんぽの調査では「手渡し」は証拠として認められません。通帳の振込履歴や現金書留の控えなど、客観的な「送金証明」が必須です。今回のリストアップ対象になっている場合、この証明が出せなければ即座に扶養解除となります。「知らなかった」では済まされない厳しいポイントです。


③雇用保険(失業給付)を受給していませんか?【被扶養者資格確認】

~「退職したから扶養に入れる」の勘違い~

退職した配偶者をすぐに扶養に入れるケースも要注意です。ハローワークで失業給付(基本手当)を受ける場合、その日額が「3,612円」(60歳以上等は5,000円)を超えると、給付を受けている期間は扶養に入れません。


【具体的リスク事例】

社員Cさんの妻が退職。すぐに扶養手続きをしましたが、その後、妻が失業給付の受給を開始しました。Cさんは「年収で見れば130万いかないから大丈夫」と思っていましたが、社会保険は「見込み年収」で判断します。日額3,612円以上受給している期間は、「年収130万円以上の収入がある状態」とみなされるため、その期間は扶養から外れる手続きが必要です。これを放置したまま今回のリストに載っていると、不正受給として指摘される可能性が極めて高いです。


会社(事業主)が今すぐやるべきアクション

今回の「被扶養者状況リスト」の提出期限は令和7年12月12日です。年末調整の繁忙期と重なりますが、以下の手順で確実に処理を進めてください。

  1. リスト到着後、即開封(11月中旬〜)

    対象社員を確認し、すぐに本人へ確認を依頼してください。特に「別居」「パート勤務」「最近退職した家族」がいる社員は重点確認対象です。

  2. 「変更あり」の洗い出し

    もし扶養要件から外れていることが判明したら、リストへの記入だけでなく、速やかに「被扶養者(異動)届」を作成し、扶養解除の手続きを行ってください。

  3. 社員への周知徹底

    「医療費の返還請求リスク」や「保険料の公平負担」について説明し、正しい申告を促してください。


適正な扶養管理は、会社の社会保険料負担(会社折半分のコスト)の適正化にも直結します。無駄な支出を抑え、健全な経営を行うためにも、今回の再確認を「見直し」の好機と捉えましょう。

「このケースは判断が難しい」「社員への説明に自信がない」「遡及解除のリスクが怖い」など、ご不安な点は当事務所にご相談ください。貴社の実情に合わせて、的確にサポートいたします。


事業主・加入者のみなさまへ「令和7年度被扶養者資格再確認の実施方法等について(協会けんぽ)


坂の上社労士事務所/給与計算・就業規則・助成金・社会保険・労務相談・人事評価(東京都千代田区神田三崎町/全国対応)

代表 特定社会保険労務士 前田力也

水道橋オフィス 東京都千代田区神田三崎町2-17-5稲葉ビル203

国分寺オフィス 東京都国分寺市本町4-7-5サンプラビル2階

立川オフィス 東京都立川市曙町1-16-1 第3鐙坂ハウス3階

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