【野党は希望の党「排除」の悪夢を忘れたか?】高市総裁の発言より100倍深刻な日本の危機。「麻生院政」vs「野田院政」という絶望的な茶番劇。国民不在の「椅子取りゲーム」に未来はない
- 坂の上社労士事務所

- 10月12日
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更新日:10月14日

高市早苗自民党総裁の「ワークライフバランスを捨てる」という発言に、メディアは多くの時間を費やしました。しかし、それは問題の本質ではなく、あくまで枝葉末節(しようまっせつ=取るに足らない些細な事柄)に過ぎません。
この国の本当の危機。それは、政治家たちが繰り広げる数合わせの権力闘争であり、数年前に国民を絶望させた悪夢の再来です。
裏金問題に何ら反省のない自民党は「麻生傀儡政権」で延命を図る一方、公明党の連立離脱を「十数年に一度のチャンス」と捉えた立憲民主党の野田佳彦氏は、またしても理念なき野合の先頭に立っています。
結局、この国は国民不在という病から一歩も抜け出せていないのです。なぜこの悪循環が繰り返されるのか。その元凶を、過去の失敗と重ね合わせながら3つの視点で断罪します。
1.自浄作用ゼロという末期症状。国民生活を蝕む「麻生傀儡ゾンビ政権」
まず、全ての元凶であり、日本の宿痾(しゅくあ=いつまでも治らない病気)そのものである自民党についてです。彼らが口にする「解党的出直し」などという言葉は、国民を黙らせる為の口先だけの約束であり、組織に自浄作用がもはや存在しないという末期症状を呈しています。
裏金問題は、単なる政治家の倫理観の欠如ではありません。企業や団体がカネで政策を買い、その見返りとして政治家が国民ではなく特定の組織に奉仕する、歪みきった政策決定プロセスそのものです。その結果が、30年間上がらない実質賃金であり、未来への希望を奪い世界トップクラスとなった少子化であり、そして国民全体から広く薄く搾取を続ける思考停止の消費税増税なのです。これらの問題は個別の事象ではなく、全ては、政治が国民ではなくカネと利権の方を向いてきた必然の帰結と言えます。
そして、この腐敗構造の延命装置として誕生したのが「高市総裁」です。しかし、その人事に国民は騙されません。これは刷新などでは断じてなく、ただの「麻生内閣リバイバル」であり、より正確に言えば、過去の失敗から何も学ばない「ゾンビ政権」です。
その実態は、キングメーカー気取りの麻生太郎氏を筆頭とした長老支配です。彼らにとって重要なのは、国の未来や国民の生活ではないのです。自分たちの利権構造と影響力をいかに維持し、次世代に引き継ぐか、それだけです。閣僚の顔ぶれは、政策実現能力やビジョンではなく、派閥への忠誠度と長老への「ご機嫌伺い」で決められます。物価高に国民が悲鳴を上げようが、彼らは高級料亭での会食を繰り返し、国民の実感からかけ離れた「永田町の論理」だけで全てを動かします。
この政権は、国民の生活向上という本来の目的を完全に見失い、ただひたすらに旧来の利権構造を維持する為だけに存在するのです。それはもはや政権ではなく、日本の未来を食い潰す巨大な利権共同体に他なりません。
2.学習能力ゼロの野党。希望の党「排除」の悪夢、再び
自民党が腐りきっているなら、野党に政権を託すしかありません。そう思う国民の、なけなしの期待を、彼らは何度裏切れば気が済むのだろうかと心底思います。今の野党の姿(特に立憲民主党)は、数年前に国民を絶望の淵に叩き込んだ、あの2017年の悪夢の完全な再現です。
思い出して下さい。当時、国民は「小池人気」という一陣の風に熱狂しました。その風に乗り遅れまいと、民進党(当時)の議員たちは、昨日まで掲げていた理念も政策もゴミ箱に捨て、我先にと希望の党へとなだれ込みました。しかし、待っていたのは小池百合子代表(当時)による「排除します」という、政治史に残る冷酷な宣告。希望の党から排除された(=公認されなかった)のは、菅直人氏、枝野幸男氏、そして何を隠そう、今の立憲民主党を率いる野田佳彦氏本人など、そうそうたる面々です。選別され、行き場を失った者たちが、プライドも何もなく「やむなく」「仕方なく」立ち上げたのが、今の立憲民主党の原点ではなかったのでしょうか(野田佳彦氏は無所属で出馬)。
この時、思想も政策も異なる者たちが「打倒安倍」という一点だけで結集したものの、その「烏合の衆」がいかに脆く、いかに国民の信頼を裏切るかを、骨の髄まで学んだはずでした。
だが、彼らは全く反省していないのではないでしょうか。それどころか、その失敗の本質すら理解していないように思います。そして、ここからが驚愕すべき点ですが、希望の党が分裂してできたのが今の国民民主党の源流であり、その希望の党で小池氏の後に代表を務めたのが、他ならぬ玉木雄一郎氏なのです。
この、あまりに皮肉な巡り合わせを理解した上で、今の状況を見て下さい。
立憲民主党がやっていることは、当時と寸分違わぬ愚行の繰り返しです。「反自民」「反高市」という、その場しのぎの旗印の下、かつて自分を「排除した側」の理念を受け継ぐ政党の党首を、今度は自分たちが首相に担ぎ上げようとしている。これは単なる「野合」ではない。有権者に対する明確な「詐欺行為」です。立憲民主党の綱領を信じて一票を投じた有権者は、自分たちとは真逆の政策を持つ人物が首相になることを許したわけではありません。これは、選挙で示された民意の否定であり、民主主義の根幹を揺るがす背信行為です。
理念なき数合わせで一時的に政権を奪ったとして、その先にどんな長期的なビジョンがあるというのでしょうか。結果は火を見るより明らかです。重要法案一つ採決できず、内輪揉めと権力闘争に明け暮れた末に、あっけなく政権は崩壊します。その間、停滞する経済も、進む少子化も、国民の苦しい生活も、全てが置き去りにされる。
彼らがやっているのは、政権交代ではない。国民を巻き込んだ、壮大な「政治ごっこ」に過ぎないのです。
3.日本の真の危機は、民主主義そのものの機能不全。「麻生院政」「野田院政」という地獄の2択
結局のところ、今、永田町で起きていることは、自民党の利権構造を守る為の「麻生院政」か、それと全く同じ構図の権力闘争ゲームでしかない「野田院政」かの二択でしかありません。人気の玉木氏を御神輿として担ぎ上げ、いざ政権を獲った暁には、野党第一党である立憲民主党が数の力で実権を握る。その目に見えた打算は、麻生太郎氏がやっていることと何一つ変わらないのです。どちらに転んでも、その先に国民生活の向上という道は存在せず、ただ政治家たちの権力ゲームが続くだけです。これは、どちらの扉を開けても行き止まりである、絶望的な状況と言えます。
我々国民は、このくだらない権力闘争を眺める観客ではありません。30年続く経済の停滞、終わりなき物価高、そして静かに、しかし確実に未来を蝕む少子化という現実の中で、重税に喘ぎ続ける当事者であり、この政治的怠慢の最大の被害者なのです。高市総裁の個人の資質や些細な発言にメディアや世論が沸き立っている間に、この国の土台そのものが、音を立てて腐り落ちていっています。それは、問題を矮小化し、国民の怒りの矛先を逸らす為の、巧妙なガス抜きに他なりません。
私たちが直視すべき真の問題は、個々の政治家の資質やスキャンダルなどという表層的なものでは断じてありません。過去の大きな失敗から何も学ばず、国民に対して健全で、魅力的な選択肢を提示することさえできなくなった、この日本の政治システム全体の構造的崩壊こそが、この国の真の危機なのです。
それは、国民の声が政治に届かず、政治の決定が国民生活に反映されないという、民主主義のフィードバック機能が完全に麻痺している状態です。政策は国民の幸福の為ではなく、永田町内部の力学と、選挙を支える特定の組織への配慮のみで決定されていきます。「失われた30年」とは、単なる経済の停滞期ではないのです。それは、政治が国民を見捨て続けた「失われた民主主義の30年」でもあったのです。
一度、この自己増殖を続ける利権と馴れ合いのシステムを、根本からリセットしなければ、この国に未来はありません。もはや小手先の改革や、政党の離合集散で解決できる問題ではないのです。日本の未来を食い物にする亡者たちを、これ以上永田町に居座らせてはなりません。
そして、この悪循環を断ち切る責任は、最終的に我々国民一人ひとりにあるのです。
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