【社労士(社会保険労務士)が警鐘を鳴らす】助成金不正関与社労士「64人逮捕・公表」報道の衝撃!経営者が今すぐ知るべき「不正リスク」と「信頼できる専門家の選び方」3つの視点
- 坂の上社労士事務所

- 9月29日
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更新日:10月1日

令和7年9月下旬、「助成金狙う悪徳社労士、コロナ禍の雇調金バブルで・・・3年間で64人が関与・・・」という衝撃的な新聞報道が日本全国を駆け巡りました。
助成金や社会保険手続きを担う国家資格者である社会保険労務士(社労士)が、不正受給に関与し、氏名公表や逮捕に至っているという事態は、専門家としての社会的信用を大きく失墜させました。
これを受け、全国社会保険労務士会連合会(全社連)の会長は声明を公表し、「大変遺憾」の意を表明するとともに、信頼回復に努めることを約束しました(令和7年9月26日公表)。
この問題は、企業が専門家を選定する際の「リスク」と「基準」を根本的に見直す必要性を示しています。本記事では、この報道の持つ意味を、社労士の視点から深く掘り下げます。
1. 単なる倫理違反ではない「詐欺罪」のリスクと企業の連帯責任
社労士が関与した助成金不正受給は、単なる倫理規定違反ではありません。刑法上の「詐欺罪」にあたり、逮捕・起訴の対象となる重大な犯罪行為です。
社労士の刑事責任
不正行為を指南・実行した社労士は、詐欺罪(10年以下の懲役)で処罰されます。
企業の刑事・行政責任
企業側も不正の事実を知りながら関与した場合、共犯として刑事罰を問われる可能性があります。また、助成金を提供する厚生労働省から全額返還命令に加え、延滞金や加算金(最大40%)が課されるなど、行政処分と連帯責任を負います。
不正に関与した専門家を選んだがゆえに、企業自身が「犯罪組織の一員」と見なされ、社会的信用の崩壊と経営の危機に直面するというのが、最大のリスクです。
2. 不正発覚が招く「税務リスク」と過大な追徴金
助成金の不正受給が発覚した場合、企業は労務だけでなく、税務上の大きなリスクも負うことになります。
返還金と損金算入
不正受給により返還を命じられた助成金は、原則として返還した期の損金(費用)として処理されます。しかし、不正に関わったという事実は、税務当局(国税庁)の監視リストに入ることを意味します。
不納付加算税・延滞税の連鎖
助成金不正に関与する企業は、人件費や経費の処理もずさんになりがちです。税務調査が入った際、給与処理のミス(源泉徴収漏れなど)や経費の不正が同時に発覚し、重加算税などの厳しいペナルティが課されるリスクが高まります。
不正に手を染めると、その後のすべての経営活動の透明性が疑われ、労務リスクがそのまま税務リスクへと連鎖し、企業に過大な追徴金という形で襲いかかります。
3. 信頼回復に向けた「業界の自浄作用」と専門家選びの基準
全国社会保険労務士会連合会は声明の中で、「指導、処分等を強化するとともに、倫理研修のみならず、業務にかかる研修等を拡充」し、不正根絶に向けた自浄作用を強く発揮していくことを宣言しました。
この声明が示すように、信頼できる社労士を選ぶ基準は、「助成金をいくら取ってくれるか」ではなく、「コンプライアンス(法令遵守)を最優先するか」です。
信頼できる社労士を見極める3つの基準
適正報酬の提示
「成功報酬〇〇%で満額保証」といった、異常に高すぎる成功報酬を提示しない。
本業支援への注力
助成金申請ありきではなく、まずは就業規則や勤怠管理などの労務基盤の適正化を提案する。
不正を誘う言動がない
「書類は後で修正可能」「虚偽の申告をすれば通る」といった、法令違反を指南する言動が一切ない。
真に信頼できる専門家は、短期的な利益ではなく、企業の長期的な成長と法令遵守を最優先でサポートします。
参考資料:<助成金の不正受給に関与した社労士に関する新聞報道について>
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