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第1話「ホワイトという名の漆黒」/架空エンタメ労務ドラマ『リーガル・ハウンド 〜一億円の社労士〜』

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 2 日前
  • 読了時間: 9分

更新日:6 時間前

リーガル・ハウンド

※本記事は、特定社会保険労務士・前田が実務経験から着想を得て考案した架空のフィクションドラマを台本化したものです。実務のリアルなエッセンス(法改正やシステムの仕様など)を盛り込んでおりますが、エンターテインメント性を高めるため、主人公の言動、法外な報酬額、行政機関への過激な対応など、多分に過剰な表現や演出が含まれております。あらかじめフィクションとしてお楽しみください。


登場人物

  • 神宮寺 尊(じんぐうじ たける・45):主人公。特定社会保険労務士。都内の超高級ホテルのスイートルームを事務所にしている。性格は極めて傲慢で冷酷だが、労働法と社会保険に関する知識は悪魔的に深い。「労働基準法は神。そして私は、その神の代行者だ」が口癖。最低受任額は5,000万円。

  • 星野 明かり(ほしの あかり・25):神宮寺の新人助手。正義感にあふれるが、神宮寺の無茶苦茶なやり方と暴言にいつも振り回されている。

  • 神崎 誠(かんざき まこと・50):第1話のターゲット。急成長中のITメガベンチャー「ゼウス・イノベーション」のカリスマ社長。

  • 権田 修一(ごんだ しゅういち・55):東京労働局のベテラン監督官。融通の利かないお役所気質で、型破りな神宮寺を目の敵にしている。


第1話あらすじ「ホワイトという名の漆黒」

表向きは「完全週休3日」「残業ゼロ」を謳う超ホワイト企業、ゼウス・イノベーション。しかし裏では、正社員を強制的に「個人事業主」として業務委託契約に切り替えさせ、労働法の適用外にした上で24時間働かせる「偽装請負」が横行していた。過労で倒れた兄を持つ女性の依頼を受けた神宮寺は、圧倒的な知識と話術で、カリスマ社長・神崎と、及び腰の行政(労働局)を同時に叩き潰す。


シーン1:神宮寺の事務所(都内高級ホテル・スイートルーム)

(場面指定) クラシック音楽が優雅に流れる室内。特定社会保険労務士・神宮寺尊(45)が、マルチモニターで膨大なクラウドデータを睨んでいる。目の前には、依頼人の女性と、助手・星野明かり(25)。

依頼人 「……どうか、お願いします! 兄は『個人事業主だから労災は下りない』とゼウス・イノベーションから突き放され、意識不明のままなんです! なんとか、会社に責任を認めさせられないでしょうか!?」

神宮寺 「(モニターから目を離さず)帰れ。私は社労士だ。個人の労働トラブルの代理人は引き受けない。それに……そのゼウス・イノベーションは、私が『N-3期の労務監査』を請け負っている顧問先だ。利益相反になる」

明かり 「えっ!? 先生、ゼウス・イノベーションの顧問だったんですか!?」

神宮寺 「月額500万でな。上場(IPO)に向けて、徹底的な内部統制システムを構築してやっている最中だ」

依頼人 「そんな……じゃあ、先生もグルなんですか!? 兄みたいな偽装請負のエンジニアを使い捨てにして……!」

神宮寺 「(ピタリと手を止め、鋭い視線を依頼人に向ける)……言葉に気をつけろ。私が構築するシステムに、コンプライアンス違反というバグは存在しない。……ただ、神崎のド阿呆が、私に隠れて裏帳簿のような契約を結んでいたとすれば話は別だ」

神宮寺 「(不敵な笑みを浮かべ)女。個人の依頼としては受けないが、貴重な『監査データ』を提供してくれたことには感謝しよう。星野君、ゼウス・イノベーションのクラウド勤怠データと、全業務委託者のログインログの『不整合データの突合』を急げ。神崎社長に、”コンサルティング”の時間だ」


シーン2:ゼウス・イノベーション 社長室

(場面指定) 最上階の社長室。神崎社長(50)と、東京労働局の権田(55)が談笑している。 そこへ、ノックと共に神宮寺が分厚い監査レポートを持って入ってくる。

神崎 「おお、神宮寺先生。お待ちしていましたよ」

権田 「む……神宮寺。貴様がこの会社の顧問だと? 相変わらず法外な顧問料をふんだくっているそうだな」

神崎 「権田さん、神宮寺先生の構築する内部統制は完璧ですよ。我が社の給与・勤怠のクラウド管理は最新鋭だ。労働局に睨まれるような隙はありませんよ。ねえ、先生?」

神宮寺 「(冷ややかな目で神崎を見下ろし)……ええ。私が手掛けた『正規ルート』のシステムは完璧です。だが神崎社長、あなたは私を舐めているのか?」

神崎 「……は? どういう意味ですか?」

神宮寺 「(分厚い監査レポートを机に叩きつける)上場を見据えたN-3期の包括的労務監査。その最終報告書だ。結論から言おう。あなたの会社は、このままでは社会から抹殺される」

権田 「な、なんだと?」

神宮寺 「表の正規雇用者にはクラウドで完璧な勤怠管理を敷く一方で、裏では150名ものエンジニアを一度退職させ、『業務委託』として別管理していたな。私に隠し通せるとでも思ったか?」

神崎 「(少し焦りながら)いや、それは……彼らは独立した個人事業主として……権田さんも、契約書上は違法性はないと……」

神宮寺 「(怒号)黙れ!! 行政の節穴の目を誤魔化せても、この私の目は誤魔化せん!!」

神崎・権田 「(神宮寺の気迫に圧倒され、ビクッとする)」

神宮寺 「出退勤をチャットで分刻みで指示し、他社の業務を一切禁じている。これが個人事業主? ふざけるな。実態は完全な『労働者』だ。悪質な偽装請負、そして国保逃れの脱法スキームだ!」

神崎 「し、しかし! 業務委託なら労働基準法は……」

神宮寺 「労働基準法だけだと思うなよ。お前が一番恐れるべきは『年金事務所』だ!!」

神崎 「……年金、事務所?」

神宮寺 「(冷酷に宣告する)年金事務所の不整合判定の恐ろしさを知らないようだな。実態が労働者と判定されれば、健康保険と厚生年金は最大2年分、問答無用で遡及徴収される。150名分、従業員負担分の立替義務と延滞金を合わせれば、ざっと8億円だ。さらに未払い残業代を含めれば10億円規模の簿外債務が確定する。IPOなど一瞬で吹き飛ぶぞ」

権田 「ば、馬鹿な……そこまでの規模の偽装を……」

神宮寺 「神崎。私はお前のような、システムを悪用して労働者を搾取し、あまつさえ顧問である私を欺こうとする経営者が世界で一番嫌いだ。今すぐ社長のイスから引きずり下ろしてやってもいいんだぞ」

神崎 「(完全に青ざめ、震えながら)ま、待ってくれ先生! 私が悪かった! IPOが頓挫したら、会社は終わりだ! な、なんとかしてくれ! 顧問だろう!?」

神宮寺 「(冷ややかに見下ろし)……顧問だからこそ、軌道修正をしてやると言っている。今日、この瞬間をもって全業務委託契約を破棄し、彼らを正規雇用として再契約しろ。過労で倒れたエンジニアには即座に労災を申請し、誠意をもって補償しろ。それらをすべて、私が構築するクラウドシステムに統合し、二度と不正ができない不可逆的な組織に作り変える」

神崎 「わ、分かった……すべて先生の言う通りにする……!」

神宮寺 「この最悪のバグを修正し、会社を救済する『特命プロジェクト』。追加のコンサルティング費用は1億円だ。高いか?」

神崎 「……は、払います! お願いします!」


シーン3:数日後、神宮寺の事務所

(場面指定) ニュース番組の音声が流れている。 『IT大手ゼウス・イノベーション、大規模な人事制度改革を発表。全エンジニアを正規雇用化し、高度なクラウドシステムによる労働環境の完全透明化を実現……』

明かり 「(興奮気味に)先生! 依頼人のお兄さん、会社が全面的に非を認めて、手厚い補償がされることになりました! IPOに向けて、会社も本気でホワイト化を進めてるみたいです!」

神宮寺 「(高級ワインをグラスに注ぎながら)当然だ。私がシステムレベルで不正を封じ込めたからな。経営者の矮小な『意志』など信用しない。私は『仕組み』だけを信用する」

明かり 「でも、顧問契約の月額500万に加えて、追加で1億円って……。先生、わざと最初泳がせてたんじゃありませんよね?」

神宮寺 「(不敵に微笑み、グラスを傾け)私を欺こうとしたペナルティとしては、適正価格だろう。それに、1億円で数千億の時価総額を手に入れられるのなら、神崎にとっても安い買い物だ」

明かり 「(呆れ半分、尊敬半分で)……相手が社長だろうが容赦なしですね。やっぱり、先生は悪魔です」

神宮寺 「訂正しろ。私は神の代行者だ。(ワインを飲み干す)」


次回リーガル・ハウンド予告

第2話「偽装のテーマパーク〜違法派遣と見えざる労働者〜」

次回リーガル・ハウンドもお楽しみに!


執筆 特定社会保険労務士 前田力也(個人)

※本記事(ドラマ台本および法的見解)の著作権は、特定社会保険労務士 前田力也(個人)に帰属します。無断での転載、複製、改変、およびSNS等への無断引用を固く禁じます。


【本作のタイトル『リーガル・ハウンド』の趣旨について】

英語圏において、法廷で大局的な論争を繰り広げるエリート弁護士は、しばしば「リーガル・イーグル(法律の鷲)」と称されます。空から事案を俯瞰し、法理という翼で戦う彼らに対し、本作の主人公である社会保険労務士は「リーガル・ハウンド(法律の猟犬)」として位置づけました。

社労士の主戦場は、華やかな法廷ではなく泥臭い「現場」です。

巧妙に偽装された労働実態、意図的に隠蔽された社会保険逃れのスキーム、あるいは偽装請負のような不適切な契約関係など、表面的な書類だけでは見えない企業の闇に対し、彼らは地を這うように事実を嗅ぎ回り、証拠をかき集めます。

特権的なエリートとして上段から裁くのではなく、労働現場の最前線に密着し、執念深くコンプライアンスの矛盾を追い詰めていく。本作は、弁護士(鷲)と社労士(猟犬)という明確な役割の棲み分けのもと、実態調査と論理の力で労働社会の不条理に立ち向かう「猟犬」のリアルな戦いを描くことを企図しています。


【本件に関する実務相談・お問い合わせ】

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社会保険労務士法人 坂の上社労士事務所/給与計算・就業規則・助成金・社会保険・労務相談・人事評価(東京都千代田区神田三崎町/全国対応)

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代表 特定社会保険労務士 前田力也

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メディア取材実績:週刊文春((株)文藝春秋)(【証拠ビデオ入手】東証上場企業・ライトアップが指南する厚労省助成金“不正受給”「おいしすぎる」「数千万円が自由に」、【全社員の4分の1近くがいなくなり…】「ウルトラマン」シリーズの円谷プロで退職者が続出していた、《50万円の賠償金が…》開業25周年のUSJに違法契約の疑い【契約書入手】)、TOKYO MX(堀潤 Live Junction」「医療保険制度改革で…負担増える逆転現象も」)、東京新聞『国保逃れ指摘「すでに把握しています」と言いつつ野放し 国や年金機構「脱法行為」是正がニブ過ぎるのは…』『維新だけではなかった「国保逃れ」 司法書士グループ企業でも「節約術」疑惑 厚労省「看過できない状況」』、『国保逃れ」に新たな手口 国の対策をすり抜ける「従業員型」とは…業者に接触した特定社労士が読み解く』、週刊SPA!『稼ぎながら健康になれ 50代からのガテン系仕事』、他

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