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第2話「偽装のテーマパーク〜違法派遣と見えざる労働者〜」- 架空エンタメ労務ドラマ『リーガル・ハウンド 〜一億円の社労士〜』

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 7 時間前
  • 読了時間: 11分
リーガル・ハウンド

※本記事は、特定社会保険労務士・前田が実務経験から着想を得て考案した架空のフィクションドラマの台本です。実務のリアルなエッセンス(入管法・派遣法・労働施策総合推進法・社会保険の仕組みなど)を盛り込んでおりますが、エンターテインメント性を高めるため、主人公の言動、法外な報酬額など、多分に過剰な表現や演出が含まれております。あらかじめフィクションとしてお楽しみください。


登場人物

  • 神宮寺 尊(じんぐうじ たける・45):主人公。特定社会保険労務士。都内の超高級ホテルのスイートルームを事務所にしている。性格は極めて傲慢で冷酷だが、労働法と社会保険に関する知識は悪魔的に深い。「労働基準法は神。そして私は、その神の代行者だ」が口癖。最低受任額は5,000万円。

  • 星野 明かり(ほしの あかり・25):神宮寺の新人助手。正義感にあふれるが、神宮寺の無茶苦茶なやり方と暴言にいつも振り回されている。

  • 木島 拓也(きじま たくや・38):『週刊真相』の敏腕記者。労働問題のスクープを狙っており、裏で神宮寺に情報提供と調査協力を仰いでいる。

  • 鮫島 剛(さめじま ごう・52):第2話のターゲット。業務請負(アウトソーシング)大手「オメガ・コーポレーション」社長。巨大テーマパークの運営を裏で支えるが、極悪な脱法スキームを敷いている。


第2話あらすじ「偽装のテーマパーク〜違法派遣と見えざる労働者〜」

西日本最大の巨大テーマパーク。その裏では、業務請負大手のオメガ・コーポレーションから送り込まれた数百人の外国人労働者が「業務委託」の名目で働かされていた。神宮寺は『週刊真相』の記者と結託し、彼らの「偽装請負(違法派遣)」と「入管法違反」、そして社会保険逃れの実態を徹底的に暴く3万字の告発記事をWeb上に投下。スクープ記事は瞬く間に大炎上する。「ハローワークの届出義務は雇用主にある。ウチは知らなかった」とトカゲのしっぽ切りを図るテーマパーク側。絶体絶命の窮地に陥った鮫島社長は、怒り狂って神宮寺の事務所へと乗り込んでくる。しかし神宮寺は、テーマパーク側が抱える「不法就労助長罪」の過失責任という致命的な死角を突き、両社を支配下におく悪魔の取引を持ちかける。


シーン1:神宮寺の事務所(都内高級ホテル・スイートルーム)

(場面指定) クラシック音楽が優雅に流れる室内。特定社会保険労務士・神宮寺尊(45)が、マルチモニターで凄まじい勢いで拡散されていくSNSのタイムラインとWeb記事のPV数を眺めている。 画面には、週刊真相デジタル版のトップ記事『巨大テーマパークの闇。外国人労働者の偽装請負とセーフティーネット崩壊の実態』。 ソファには、週刊真相の記者・木島(38)と、興奮冷めやらぬ助手・星野明かり(25)。

木島 「……やりましたよ神宮寺先生! 昨晩公開した『週刊真相』のトップ記事、すでに300万PV突破です。SNSでも大炎上、今朝からテーマパークの運営会社には非難の電話が殺到しているそうです」

明かり 「先生が書いた『法的見解書』のパート、凄まじい反響です! オメガ社が外国人スタッフを業務委託と偽って社会保険から漏れさせているだけでなく、実態が違法な派遣状態になっていることまで……。みんな怒ってますよ!」

神宮寺 「(モニターから目を離さず、冷ややかに)当然だ。社会のセーフティーネットと法秩序を不当に食い破るダニは、私の『神の庭』を汚す害虫に等しい。……木島、ご苦労だったな。そろそろ“獲物”が罠にかかる頃だ」

(その時、スイートルームの呼び鈴が激しく鳴り響く。ドンドンとドアを叩く音)

明かり 「ひぃっ!? な、何ですか!?」

神宮寺 「(不敵な笑みを浮かべ)来たな。星野君、出迎えてやれ。真相の炎に焼かれて正気を失った、哀れな獣をな」


シーン2:神宮寺の事務所

(場面指定) 明かりが恐る恐るドアを開けると、血走った目の鮫島社長(52)が数人の部下を引き連れて乱入してくる。

鮫島 「(怒号)神宮寺ぃぃ!! てめえか、週刊真相にウチのガセネタを吹き込んだヤクザ社労士は!!」

神宮寺 「(本革のソファから立ち上がらず、葉巻をくゆらせながら)……靴を脱げと言いたいところだが、まあいい。タイムチャージは1秒1万円だ。要件は手短に言え」

鮫島 「ふざけるな! お前のあの記事のせいで、ウチの株価はストップ安だ! おまけにテーマパーク側からは『重大なコンプライアンス違反だ。ウチは適法な業務委託のつもりだったのに、オメガ社に騙された。直ちに取引を停止する!』と通告された! どうしてくれる!」

神宮寺 「(鼻で笑い)……騙された、だと? 腹の立つ偽善者どもだ。自分たちで現場の外国人に分刻みで直接指揮命令を下しておきながら、よく言えたものだ」

鮫島 「そうだ! テーマパークの法務がこう言ってきたんだ。『労働施策総合推進法第28条第1項に基づき、外国人雇用状況のハローワークへの届出義務を負うのは、直接の雇用主であるオメガ社だ。現場の外国人の在留資格の確認責任もすべてお前らにある。ウチは知らなかったし関係ない』と……! ウチだけをトカゲのしっぽ切りにする気だ!」

神宮寺 「(立ち上がり、冷笑を浮かべる)……相変わらず大企業の法務も、そこにぶら下がる顧問弁護士も三流だな。法律のイロハも分かっていない」

鮫島 「え……?」

神宮寺 「(机をドンッと叩き、鋭い眼光で鮫島を射抜く)労働施策総合推進法の行政届出義務と、入管法上の不法就労防止の責任を混同している! 『届出義務が派遣元にあるから、在留資格の確認責任も派遣元だけにある』などという論理が、法廷で通用するとでも思っているのか!!」

鮫島 「(気圧されながら)つ、通用しないのか……?」

神宮寺 「出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項第1号、『不法就労助長罪』。条文をよく読め。『雇用した者』ではない。『事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者』だ! 労働契約関係がなかろうと、現場で指揮命令を下して実質的に働かせていたテーマパーク側も、ド直球で処罰対象になる!」

鮫島 「しかし、あいつらは『知らなかった』の一点張りで……」

神宮寺 「(怒号)知らなかったで済むか!! 入管法第73条の2第2項を見ろ!!」

鮫島 「(ビクッとする)」

神宮寺 「『外国人が不法就労活動をすることができる者であることを知らなかったとしても、そのことにつき過失がなかったときを除き、前項の規定の適用を免れない』! 過失犯の処罰規定だ! 在留カードの原本確認をお前たち任せにし、自社で一度も確認を怠っていたテーマパーク側の過失は明白。知らなかったという言い訳そのものが、過失を証明する自爆スイッチなんだよ!!」

鮫島 「(目を見開く)過失責任……!」

神宮寺 「改正入管法を舐めるなよ。法定刑は従来の懲役3年から跳ね上がっている。『5年以下の拘禁刑、もしくは500万円以下の罰金、またはその併科』だ! トカゲのしっぽ切りをしようとしているテーマパークの役員ども自身が、ブタ箱に叩き込まれる犯罪者だということを教えてやれ!」

鮫島 「(完全に青ざめ、膝がガクガクと震え出す)ご、5年以下の拘禁刑……! そこまで言えば……あいつら、絶対にお前たちを切り捨てられない……!」

神宮寺 「さらに『労働契約申込みみなし制度』のカードも切れる。指揮命令の実態を盾に、偽装請負を理由として数百人の直接雇用責任を負わせるプレッシャーをかければ、連中の逃げ道は完全に塞がる」

鮫島 「(床にへたり込み、すがるように見上げる)ま、待ってくれ神宮寺先生! じゃあどうすればいい!? テーマパークを道連れにしてウチも爆死するしかないのか!?」

神宮寺 「(冷酷な笑みを浮かべて)……脅すだけでは三流だと言ったはずだ。逃げ道を用意してやる。炎上した後の『鎮火』と『適法な再生』を、私が請け負ってやろう」

鮫島 「再生……!?」

神宮寺 「今日この瞬間から、全外国人スタッフをお前の直雇用に切り替え、ハローワークへの届出と『社会保険』の加入手続きを即座に行え。そして、テーマパークとの違法な業務請負契約を直ちに破棄しろ。お前たちはアウトソーシング大手だ、派遣免許くらい持っているだろう? その免許を使って、適法な『労働者派遣契約』へと巻き直すんだ」

神宮寺 「ただし、ビザと業務の厳格な一致が絶対条件だ。『技術・人文知識・国際業務』のビザを持つ者は、インバウンド対応の『通訳・コンシェルジュ』として適法に派遣する。清掃や設営などの現場労働には、就労制限のない『定住者』や『永住者』などの身分系ビザを持つ者だけをアサインしろ」

鮫島 「し、しかし……数百人規模のシフトで、そんな複雑な在留資格の条件分けをどうやって……」

神宮寺 「(不敵に微笑み)だから、私の出番だと言っている。私が設計した『多拠点対応・外国人労働者トラッキングシステム』を導入しろ。統合型労務ソフト『キャッシュフォワード』でプラットフォームを完全統合し、彼らの在留資格の種類、更新期限、派遣抵触日を一元管理する」

神宮寺 「システム上で、在留資格に合致しない業務には物理的にシフトが組めないようAIでブロックをかける。派遣先への在留カード情報連携も自動化し、テーマパーク側にも『原本確認の過失』を二度と発生させない不可逆な防壁を敷いてやる」

神宮寺 「明日の朝、『オメガ社は外部専門家の監査を受け入れ、テーマパーク側と協議の上、最新システムによる完全適法化と、入管法に厳密に準拠した正規の労働者派遣契約への移行を実施した』と週刊真相に続報を出させる。これで両社とも社会的に再生できる」

鮫島 「(両手を合わせ、涙を浮かべて)あ、ありがとうございます……! 助かった……!」

神宮寺 「この最悪のスキームを解体し、入管法と派遣法をクリアして会社を存続させる『特命プロジェクト』。コンサルティングおよびシステム導入費用は……(ゆっくりと人差し指を立てる)1億5,000万円だ。テーマパークからふんだくる、インバウンド対応の適正な高額派遣料金で、すぐに回収できるだろう? 四の五の言わず、今すぐここにサインしろ」


シーン3:数日後、神宮寺の事務所

(場面指定) ニュース番組の音声が流れている。 『……週刊真相のスクープ報道を受け、業務請負大手オメガ・コーポレーションは事実関係を認め謝罪。同時に、クラウドを活用した最先端の外国人労働者管理システムの導入と、全スタッフの適法な派遣契約への移行を発表し、業界のホワイト化を牽引する姿勢を……』

明かり 「(興奮気味に)先生! オメガ社のスタッフさんたち、無事に全員社会保険と雇用保険に加入できたそうです! テーマパーク側も『入管法の過失責任で役員が拘禁刑になる』って聞かされて真っ青になって、慌ててトカゲのしっぽ切りを撤回して派遣契約の巻き直しに同意したみたいです!」

神宮寺 「(ブラジリアン柔術のラッシュガード姿で、ストレッチをしながら)当然だ。推進法の届出義務でお茶を濁そうとする小賢しい顧問弁護士のロジックなど、入管法の過失犯規定という名の関節技(アームロック)を極めれば一瞬でタップアウトだ。完璧な制圧だったな」

明かり 「それにしても、先生の書いた法的見解、本当に容赦なかったですね。推進法と入管法第73条の2の責任の所在の違いなんて、普通の人事じゃ絶対に見落としますよ。でも、1億5,000万のコンサル料って、やっぱり吹っかけましたよね?」

神宮寺 「(立ち上がり、不敵に微笑む)適正価格だ。1億5,000万で、数百人の労働者の命綱(セーフティーネット)と、両社の経営陣の刑務所行きを同時に防いだんだ。これほど安い買い物はない」

明かり 「(呆れ半分、尊敬半分で)……やっぱり、先生は悪魔ですね。法律とシステムの」

神宮寺 「訂正しろ。私は神の代行者だ。(ミネラルウォーターを飲み干す)」


次回リーガル・ハウンド予告

第3話「輝ける女性活躍の闇〜名ばかり管理職と搾取の連鎖〜

次回リーガル・ハウンドもお楽しみに!


執筆 特定社会保険労務士 前田力也(個人)

※本記事(ドラマ台本および法的見解)の著作権は、特定社会保険労務士 前田力也(個人)に帰属します。無断での転載、複製、改変、およびSNS等への無断引用を固く禁じます。


【本作のタイトル『リーガル・ハウンド』の趣旨について】

英語圏において、法廷で大局的な論争を繰り広げるエリート弁護士は、しばしば「リーガル・イーグル(法律の鷲)」と称されます。空から事案を俯瞰し、法理という翼で戦う彼らに対し、本作の主人公である社会保険労務士は「リーガル・ハウンド(法律の猟犬)」として位置づけました。

社労士の主戦場は、華やかな法廷ではなく泥臭い「現場」です。

巧妙に偽装された労働実態、意図的に隠蔽された社会保険逃れのスキーム、あるいは偽装請負のような不適切な契約関係など、表面的な書類だけでは見えない企業の闇に対し、彼らは地を這うように事実を嗅ぎ回り、証拠をかき集めます。

特権的なエリートとして上段から裁くのではなく、労働現場の最前線に密着し、執念深くコンプライアンスの矛盾を追い詰めていく。本作は、弁護士(鷲)と社労士(猟犬)という明確な役割の棲み分けのもと、実態調査と論理の力で労働社会の不条理に立ち向かう「猟犬」のリアルな戦いを描くことを企図しています。


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メディア取材実績:週刊文春((株)文藝春秋)(【証拠ビデオ入手】東証上場企業・ライトアップが指南する厚労省助成金“不正受給”「おいしすぎる」「数千万円が自由に」、【全社員の4分の1近くがいなくなり…】「ウルトラマン」シリーズの円谷プロで退職者が続出していた、《50万円の賠償金が…》開業25周年のUSJに違法契約の疑い【契約書入手】)、TOKYO MX(堀潤 Live Junction」「医療保険制度改革で…負担増える逆転現象も」)、東京新聞『国保逃れ指摘「すでに把握しています」と言いつつ野放し 国や年金機構「脱法行為」是正がニブ過ぎるのは…』『維新だけではなかった「国保逃れ」 司法書士グループ企業でも「節約術」疑惑 厚労省「看過できない状況」』、『国保逃れ」に新たな手口 国の対策をすり抜ける「従業員型」とは…業者に接触した特定社労士が読み解く』、週刊SPA!『稼ぎながら健康になれ 50代からのガテン系仕事』、他

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