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【社労士が緊急解説】令和8年、あなたの会社は「飛躍」か「衰退」か?知らないと大損する『国のお金』の新ルール(令和8年度厚生労働省予算概算要求)

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 37 分前
  • 読了時間: 6分
厚生労働省

2026年(令和8年)、日本の中小企業は大きな岐路に立たされます。

先日、厚生労働省が発表した予算概算要求は、一般会計だけで34.8兆円という過去最大の規模となりました。これは単なる数字の羅列ではありません。「賃上げできる強い会社だけを支援し、時代の変化に対応できない会社は淘汰される」という、国の明確かつ強烈なメッセージです。

今回はこの巨大な計画の全貌を、社労士(社会保険労務士)の視点から、会社が今すぐやるべきことを徹底解説します。


1.「攻めの経営」へ!過去最大級の『賃上げ支援助成金パッケージ』を使い倒せ!

社会保険労務士として断言します。令和8年度は、賃上げと生産性向上に本気で取り組む企業だけが、国の手厚い支援を受けられる仕組みに大きく変わります。ただ漫然と経営しているだけでは、1円も受け取れません。特に注目すべきは以下の6つの助成金です。

①人材開発支援助成金(要求額:533億円)

☛ここが変わる!

社員研修の費用だけでなく、研修で得たスキルを活かすための「設備投資」費用まで助成対象になる見込みです。これは画期的な変更です。

☞具体例

若手社員にIT研修を受けさせた後、そのスキルを活かすための高性能PCや専門ソフトを購入する費用の一部(最大150万円)が補助されます。「人」と「設備」をセットで強化できる、まさに「鬼に金棒」の助成金です。


②働き方改革推進支援助成金(要求額:101億円 )

☛ここが変わる!

中小企業、特に小規模事業者への賃上げ支援が劇的に強化されます。7%以上の賃上げで、なんと最大720万円が加算される見込みです。

☞具体例

勤怠管理システムを導入して残業を減らし、その浮いた人件費を原資に社員の給料を7%アップさせる。すると、システム導入費用に加えて、最大720万円が会社にプラスされるイメージです。これはもう「やらないと損」のレベルです。


③業務改善助成金(要求額:35億円 )

☛ここが変わる!

最低賃金の引き上げに対応する企業を支えるこの助成金が、より使いやすく、対象者が拡大される見込みです。

☞具体例

飲食業で、パートさんの時給を上げる代わりに、自動券売機や配膳ロボットを導入する。その設備投資費用の一部が助成されます。「最低賃金アップはピンチではなく、生産性向上のチャンス」と捉えましょう。


④キャリアアップ助成金(要求額:544億円 )

☛ここが変わる!

非正規雇用の従業員を正社員にする際の助成金ですが、新たに「同一労働同一賃金」に関する情報開示を行うことで20万円が加算される予定です。待遇改善の「見える化」が評価されます。


⑤人材確保等支援助成金(要求額:18億円 )

☛ここが変わる!

人が辞めやすいなど、雇用管理に課題を抱える事業所が3%以上の賃上げを行った場合の加算が新設される見込みです 。人材定着と賃上げをセットで支援する国の強い意志が表れています。


⑥早期再就職支援等助成金(要求額:10億円 )

☛ここが変わる!

令和6年度の実績がわずか39事業所と低迷したため 、支給要件を大幅に緩和し、助成額も「1事業所あたり50万円」から「中途採用者1人あたり20万円」へと拡充される見込みです 。中途採用を積極化する企業にとって、大きなチャンスとなります。


2.「守りの経営」へ!知らなかったでは済まされない『2つの新義務』と法的リスク

社会保険労務士の立場から警告します。助成金は「攻め」のツールですが、これからは「守り」を固めなければ、一瞬で会社が傾くリスクがあります。令和8年度に向けて、以下の2つの義務化は全事業主が対応必須です。

①ストレスチェックの「完全義務化」(関連予算:52億円)

☛何が義務になるか?

これまで従業員50人未満の事業場では努力義務だったストレスチェックの実施が、全ての事業場で法的に義務化されます。

☞法的リスク

「ウチは小さいから関係ない」は通用しません。これを怠ると、安全配慮義務違反として、従業員のメンタル不調が発生した際に会社が損害賠償責任を問われるリスクが格段に高まります。産業医がいない場合でも、地域の産業保健総合支援センターなどが支援してくれるので 、今すぐ準備を始めてください。


②カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化(関連予算:9.2億円)

☛何が義務になるか?

顧客や取引先からの悪質なクレームや嫌がらせ(カスハラ)から従業員を守るための必要な措置を講じることが、全ての事業主に義務付けられます 。

☞法的リスク

これも安全配慮義務の一環です。「お客様は神様だ」と従業員に我慢を強いる経営は、もはや許されません。対策を怠り、従業員が精神疾患などを患った場合、労災認定や会社への損害賠償請求につながる可能性があります。相談窓口の設置、対応マニュアルの作成、研修の実施などが具体的な対策となります 。


3.「未来への投資」へ!助成金と税制優遇の合わせ技で利益を最大化せよ

社会保険労務士として、これらの制度を「会社の成長エンジン」に変える方法をお伝えします。国からの助成金は、税務上の扱いや他の優遇税制との組み合わせで、その効果を何倍にも高めることができます。

① 助成金は「課税対象」だが、それでも圧倒的にお得

☛税務上のポイント

国から受給した助成金は、法人税法上「収益」として扱われ、課税対象となります。しかし、考えてみてください。例えば720万円の助成金を受け、法人税率が約30%だとしても、手元には約500万円のキャッシュが残ります。これを原資にさらなる投資が可能です。


②「賃上げ促進税制」とのコンボを狙え

☛節税戦略

給与支給額を増やした企業は、その増加額の一部を法人税から直接控除できる「賃上げ促進税制」という強力な制度があります。今回拡充される各種助成金を活用して賃上げを行えば、「助成金で賃上げ原資を確保」し、さらに「賃上げ促進税制で法人税を節税する」という二重のメリットを享受できるのです。これは経営者として絶対に活用すべき戦略です。


③「設備投資」は未来への投資。減価償却で賢く節税

「人材開発支援助成金」などを活用して購入した高価なPCや機械は、会社の資産となります。これらは「減価償却」という会計処理を通じて、数年間にわたって経費として計上できます。つまり、単発の経費ではなく、複数年にわたる節税効果を生み出し、会社の財務体質を強化することにつながるのです。


国が示しているのは、「賃上げ」と「投資」を行う会社を全力でサポートするという姿勢です。この流れに乗り、助成金と税制優遇を最大限活用することが、持続可能な企業成長の鍵となります。


*ご参考

令和8年度厚生労働省予算概算要求の概要(厚生労働省)


令和8年度 予算概算要求の主要事項(厚生労働省)


坂の上社労士事務所/給与計算・就業規則・助成金・社会保険・労務相談・人事評価(東京都千代田区神田三崎町/全国対応)

代表 特定社会保険労務士 前田力也

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立川オフィス 東京都立川市曙町1-16-1 第3鐙坂ハウス3階

お問い合わせ support@sakanouehr.com 電話03-6822-1777

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