先般、記事にも記載しておりましたが、キャリアアップ助成金が令和3年4月1日より変更されます。今回の変更は、各企業様に大きな影響を及ぼしますので、要点を抑えた運用が必要となります。以下、最も利用の多いコースに絞って説明します。
1.正社員化コース(賃金上昇要件の変更)
助成金概要:有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に支給される助成金です。
【現行】
正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6か月と転換等後の6か月の賃金を比較して、以下のアまたはイのいずれかが5%以上増額していること
ア 基本給および定額で支給されている諸手当(賞与を除く)を含む賃金の総額
イ 基本給、定額で支給されている諸手当および賞与を含む賃金の総額(転換後の基本給および定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させていないこと。)
【変更後】
正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6か月と転換等後の6か月の賃金(※)を比較して3%以上増額していること
※基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額であり、賞与は含めないこととします。
☛当事務所からのアドバイス
変更後の要件は、令和3年4月1日以降に「正社員転換日」が存在する労働者が対象となります。
2.健康診断制度コース
助成金概要:有期雇用労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、 延べ4人以上実施した場合に支給される助成金です。
【現行】
・対象労働者⇒支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等
・支給申請期間⇒対象労働者延べ4人以上に健康診断を実施した日を含む月の分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内
【変更後】
・諸手当制度等共通化コースに統合
・対象労働者⇒定期健康診断等の受診日の前日から起算して3か月以上前の日から受診後6か月以上の期間継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等
・支給申請期間⇒健康診断制度を有期雇用労働者等に延べ4人以上実施した日を含む月以降6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内
☛当事務所からのアドバイス
諸手当制度共通化コースに統合されることに伴い、今までは健康診断コースを実施すれば38万円、さらに、諸手当制度共通化コースを実施した場合に38万円(+加算額)と、両方を受給できましたが、今後は諸手当制度共通化コースの38万円(+加算額)のみとなります。
3.諸手当制度共通化コース
助成金概要:就業規則の定めるところにより、その雇用する有期雇用労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の諸手当に関する制度を新たに設け、適用した場合に支給される助成金です。
【現行】
▼対象となる手当
①賞与、②役職手当、③特殊作業手当・特殊勤務手当、④精皆勤手当、⑤食事手当、⑥単身赴任手当、⑦地域手当、⑧家族手当、⑨住宅手当、⑩時間外労働手当、⑪深夜・休日労働手当
※注意点
・①については、6か月分相当として50,000円以上支給した事業主
・②から⑨までについては、1か月分相当として1つの手当につき3,000円以上支給した事業主
・⑩⑪については、割増率を法定割合の下限に5%以上加算して支給した事業主
【変更後】
▼対象となる手当
①賞与
②家族手当
③住宅手当
④退職金
⑤健康診断制度
※注意点
・①については、6か月分相当として50,000円以上支給した事業主
・②③については、1か月分相当として1つの手当につき3,000円以上支給した事業主
・④については、月3,000円以上積み立てした事業主
・⑤については、各種加算措置の対象となりません。
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