• 坂の上社労士事務所

偽物(偽社労士・偽税理士等)にご注意下さい/助成金は簡単にもらえません

1.助成金は簡単に受給できません

新型コロナの影響もあるのでしょうか。助成金をもらえます、補助金をもらえます、と甘い言葉で企業に近付く得体の知れないコンサルタント会社、助成金代行業者(以下、「代行業者」)が後をたちません。繰り返しのご案内になりますが、助成金は制度も複雑で、かつ、申請も相当の手数を要します。社労士事務所においても、手間と報酬が見合わない、関連するリスクを負いたくない、こうした理由からそもそも助成金業務を受け付けていない事務所もあるくらいです。このように、助成金は容易に受給できないにも関わらず、さも簡単にもらえるかのようにメリットだけを振りかざして近付いてくる業者は偽物です。信頼できるプロであれば、メリットだけでなくリスクやデメリット等も確実に説明するのです。


2.なぜ代行業者に依頼してはいけないか

これは一言で言えば、「責任を伴わない」からでしょう。例えば、厚労省助成金代行の独占業務を付与された社労士は、受注業務に対し、法令に則り、誠実に取り組まなければなりません。業務の態様が悪質な場合は、所管官庁より処分を受ける可能性があり、最悪業務停止や資格取消など死活問題に発展することもあります。社労士はこうした重圧を抱えながら業務を受注しており、いい加減な仕事はできません。一方、代行業者はこうした責任やリスクを伴わない為、適当でいい加減な業者が多数存在するのです。悪質になれば、帳簿や資料の改ざんも平気でやってのけます。「責任を伴わない」ので、企業が不正受給リスクを負うとしても代行業者は知らぬ存ぜぬです。「考え方の違い」「価値観の違い」などという薄っぺらい屁理屈で何事もなかったかのように逃げていくのです。


3.厚生労働省所管の助成金代行は社労士の独占業務

そもそも厚労省管轄の助成金代行は社労士の独占業務です。代行業者が報酬を得て、申請手続はできません。これは、社会保険労務士法2条(社会保険労務士の業務)、27条(業務の制限)が根拠となり、代行業者が違反すれば刑事責任を負うことになります。こうした理由からも、代行業者の営業に安易に乗ってはいけないのです。なお、厚労省管轄の助成金代行業務は、税理士であっても代行することはできません。


4.助成金代行の再委託も禁止

代行業者が、厚生労働省の助成金申請(社労士の独占業務)を社労士に再委託している場合はどうでしょうか。代行業者が、顧客に対しコンサルティングを行い、報酬を受けること自体は法に触れませんが、同時に厚生労働省の助成金申請を請け負い、社労士に再委託する場合、代行業者は社会保険労務士法27条(業務の制限)違反となり、再委託を請け負った社労士は、社会保険労務士法23条の2(非社会保険労務士との提携の禁止)違反となります。当事務所としては、こうした法の観点に関わらず、第三者からの再委託業務を受注することもなければ、当事務所から第三者に再委託をすることもありません。再委託のような責任の所在が曖昧になる受託の仕方は、トラブルの元になるということと、顧客と直接信頼関係を築くことが困難であり、顧客に対して直接の提案やアドバイスができなければそれはもはや「業務」とは呼べない代物だからです。よって、再委託を推奨してくる代行業者にも注意が必要であり、絶対に信用してはいけません。


5.事業運営の中において、「助成金」は優先順位が低い

代行業者の中には、助成金をもらわないなんて損している、助成金をもらう為に全力で取り組みましょう、などと勧誘してくるケースもありますが、これはもう全く的外れです。企業は本業の営業収益こそ命であり、助成金は単なる「おまけ」に過ぎません。もらえないよりはもらえて良かったくらいの感覚で対応すべきなのです。優秀な経営者の方であれば、助成金を申請することで、様々な制約を受けることを知っています。助成金を申請したが為に、本来企業が目指すべき人事戦略や果たすべき労務管理を実現できないのであれば、助成金は申請しない方が良いのです。


6.まとめ

社労士でいえば偽社労士、税理士で言えば偽税理士、どの業界・分野にも必ず偽物はいます。企業において重要なことは、自社にとって適切な依頼先、取引先を選定できるリテラシーを持つことです。コンプライアンスの観点、信頼性の観点からも一度総点検されてみてはいかがでしょうか。


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