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【令和8年10月改正】日本国籍を有しない外国人労働者の社会保険手続きが変わる!フリガナ氏名照合ルールの変更と企業実務の対応ポイントを社労士(社会保険労務士)を解説

執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
坂の上社労士事務所
23 時間前
読了時間: 9分
外国人労働者

近年、多くの企業で外国籍の従業員が活躍するようになりました。それに伴い、人事労務担当者の間では、外国籍従業員の入社手続き、特に社会保険の資格取得手続きにおける氏名表記の取り扱いが大きな課題となっています。こうした背景を受け、日本年金機構は令和8年(2026年)10月1日より、日本国籍を有しない方の「フリガナ氏名」の取り扱いを変更することを公表しました。

本記事では、この改正の経緯や政府の狙い、具体的な変更内容、そして今後の動向を踏まえ、企業の労務担当者が実務上注意すべきポイントを社会保険労務士の視点で3つの要点に整理し、詳細に解説します。


【3つの視点で解説!本改正の要約】

記事の詳細に入る前に、今回の改正の要点を3つの視点で整理します。

  1. 手続きルールの厳格化と救済措置の明確化

    これまでもフリガナ氏名での届出は行われていましたが、提出されたフリガナ氏名が住民基本台帳の情報と合致しない場合、新たに「ローマ字氏名」を介した突合ルールが適用され、より正確な個人特定が図られることになります。

  2. 新規加入時と再取得時で異なる対応手順

    初めて日本の年金制度に加入する方と、転職等により再取得する方とで、求められる届出書類や確認書類(在留カードやパスポートのコピーなど)が明確に区別されます。対象者の状況に応じた的確な手続きが求められます。

  3. 企業実務における入社前確認の重要性の向上

    人事労務担当者は、入社手続き時に在留カードや住民票の記載内容をこれまで以上に正確に確認し、提出書類との整合性を担保する管理体制を構築する必要があります。手続きの遅延を防ぐため、社内の案内手順を見直す時期に来ています。


1.制度改正の具体的な内容

令和8年10月1日以降、日本国籍を有しない方の厚生年金保険の資格取得届(被扶養者異動届も同様)について、記載された内容と住民基本台帳上の情報を突合した結果、「フリガナ氏名のみ合致しない場合」の取り扱いが以下のとおり変更されます。対象者のこれまでの加入履歴によって対応が分かれます。

①初めて年金制度に加入する方(個人番号は持っているが、基礎年金番号を持っていない方)

入国後、初めて日本の企業に就職するなどして厚生年金保険の資格を取得する場合です。この場合、従来どおりの資格取得届に加えて、新たに「厚生年金保険被保険者 ローマ字氏名届」の提出が求められます。

日本年金機構は、提出されたローマ字氏名届に記載されたローマ字氏名と、住民基本台帳上の情報を突合します。その結果、ローマ字氏名が合致すれば同一人物であると特定し、最終的には資格取得届に記載された「フリガナ氏名」を基礎として資格取得の決定を行います。フリガナの表記揺れによる手続きの滞留を防ぐための、実務的な確認手法と言えます。

②転職等によって厚生年金保険の資格を再取得する方

過去に日本の年金制度に加入したことがあり、基礎年金番号をすでにお持ちの方が、転職等によって再び資格を取得する場合です。この場合、フリガナ氏名が住民基本台帳と合致しないときは、ローマ字氏名が確認できる書類の提出が必要となります。具体的には以下の書類が該当します。

  • 在留カードのコピー

  • パスポートのコピー

  • 個人番号の記載がない住民票(コピー不可・原本提出)など

これらの書類に記載されたローマ字氏名と、住民基本台帳上の情報を突合し、合致すれば本人と特定してフリガナ氏名に基づき決定が行われます。なお、機構側で本人の特定が難しいと判断された場合には、事後的にこれらのローマ字氏名が確認できる書類の提出を追加で依頼される場合があります。


2.本改正の経緯と政府の狙い

なぜ、このようなフリガナ氏名の取り扱い変更が行われるのでしょうか。その背景には、外国籍労働者の増加と、日本の行政システム特有の課題があります。

氏名表記の複雑さと「フリガナ」の限界

外国籍の方の氏名は、アルファベットのほか、漢字圏の方であれば漢字、そして日本のシステム上不可欠なカタカナ(フリガナ)など、複数の表記が存在します。特にフリガナは、母国語の発音をどのように日本のカタカナに当てはめるかという明確な統一ルールがなく、本人の自己申告や企業担当者の判断によって表記に揺れが生じやすい性質を持っています。例えば、過去の加入時と今回の加入時で、ミドルネームの有無やカタカナの長音(ー)の有無が異なるだけで、システム上は「別人」として扱われてしまい、手続きがエラーとなる事象が頻発していました。

政府と日本年金機構の狙い

政府および日本年金機構の最大の狙いは、「年金記録の正確な管理」と「個人番号を活用した社会保障の確実な提供」です。住民基本台帳ネットワークシステムとの連携が進む中、個人番号と基礎年金番号を正しく紐付けることは、将来の年金給付を確実に行うための絶対条件です。万が一、氏名の不一致によって新しい基礎年金番号が重複して発行されてしまえば、外国籍の方の年金記録が分散してしまうことになりかねません。

今回の改正は、フリガナという曖昧になりがちな情報に加え、客観性が高く住民基本台帳にも登録されている「ローマ字氏名」を照合の軸として活用することで、個人の特定を厳密に行い、行政手続きの正確性と効率性を高めることを目的としています。


3.企業実務における注意点と対応手順

今回の改正を受けて、企業の人事労務担当者は実務の手順を見直す必要があります。特に注意すべき3つのポイントを解説します。

①入社時の提出書類の明確化と事前確認の徹底

入社手続きを速やかに完了させるためには、対象者が「初めての加入」なのか「再取得」なのかを事前に入念に確認する必要があります。初めての加入であれば「ローマ字氏名届」を漏れなく準備させなければなりません。転職者であれば、エラーが発生した際に備えて、入社時の段階で在留カードのコピー(裏表)やパスポートのコピーを必ず提出してもらい、会社側でローマ字氏名を正確に把握しておく手順が求められます。

②「個人番号のない住民票」の取得案内

確認書類として住民票の提出を求める場合、実務上で非常に注意が必要なのが「個人番号(マイナンバー)」の扱いです。日本年金機構へ確認書類として提出する住民票には、個人番号の記載がないものを用意する必要があります。

外国籍従業員に対し、市区町村の窓口で住民票を取得してもらう際、「個人番号を記載しないでください」と明確に伝達する工夫が必要です。日本語での細かい指示が伝わりにくい場合は、多言語で作成した案内文や、窓口で提示するためのメモ書きを渡すなどの配慮が、手戻りを防ぐ有効な手段となります。

③手続き遅延を見越したスケジュール管理

もしフリガナ氏名の不一致により書類の追加提出が求められた場合、社会保険の保険証(健康保険証やそれに代わる資格情報のお知らせ等)の発行が通常よりも大幅に遅れる可能性があります。従業員が医療機関を受診する際に不便を被らないよう、企業側は「外国籍の方の手続きは通常より時間がかかる可能性がある」という前提でスケジュールを組み、対象者にもあらかじめその旨を説明しておくことが望ましいでしょう。


4.今後の動向と見通し/外国人労働者

外国人労働者の受け入れがさらに拡大していく日本において、行政機関による本人確認や情報管理は今後ますます厳格化されていくことが予想されます。現在は書面による確認書類の提出や突合が行われていますが、将来的にはデジタル庁や厚生労働省の連携により、在留管理システムと年金システム、そして住民基本台帳ネットワークがより高度に連携し、入社時の情報入力だけで自動的に情報が照合されるような電子化の推進が見込まれます。

しかし、システムがどれほど進化しても、その入り口となる「企業が入力・提出する情報の正確性」が担保されていなければ意味がありません。企業には、国籍を問わずすべての従業員に対して適切かつ適法な労務管理を行うという、高い水準の法令遵守(コンプライアンス)体制と社内管理体制の構築が求められています。今回の改正は単なる「手続き書類の追加」ではなく、企業側に対して「従業員の基本情報を正確に把握し、適切に公的機関へ繋ぐ責任」を改めて問うものだと言えるでしょう。


令和8年10月からの変更により、外国籍従業員の社会保険手続きはより正確性が求められるようになります。制度の変更直後は、現場での混乱や書類の差し戻しが発生しやすくなります。人事労務担当者の皆様におかれましては、今のうちから社内の入社案内資料の改訂や、従業員から提出を受ける書類リストの見直しなど、万全の準備を進めていただくことをお勧めいたします。正確な手続きは、従業員との信頼関係を築き、企業が健全に成長するための重要な土台となります。本記事が、貴社のスムーズな実務運営の一助となれば幸いです。


日本国籍を有しない方のフリガナ氏名の取り扱いについて(日本年金機構)


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社会保険労務士法人 坂の上社労士事務所 / 給与計算・就業規則・助成金・社会保険・労務相談・人事評価 (東京都千代田区神田三崎町 / 全国対応)

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メディア取材実績:週刊文春((株)文藝春秋)(【証拠ビデオ入手】東証上場企業・ライトアップが指南する厚労省助成金“不正受給”「おいしすぎる」「数千万円が自由に」、【全社員の4分の1近くがいなくなり…】「ウルトラマン」シリーズの円谷プロで退職者が続出していた、《50万円の賠償金が…》開業25周年のUSJに違法契約の疑い【契約書入手】、《バイオハザードのゾンビ役が告発》USJの出演者は最低賃金以下で働いていた!《報酬は交通費込みで1日1.3万円》)、TOKYO MX(堀潤 Live Junction」「医療保険制度改革で…負担増える逆転現象も」)、東京新聞『国保逃れ指摘「すでに把握しています」と言いつつ野放し 国や年金機構「脱法行為」是正がニブ過ぎるのは…』『維新だけではなかった「国保逃れ」 司法書士グループ企業でも「節約術」疑惑 厚労省「看過できない状況」』、『国保逃れ」に新たな手口 国の対策をすり抜ける「従業員型」とは…業者に接触した特定社労士が読み解く』、週刊SPA!『稼ぎながら健康になれ 50代からのガテン系仕事』、他

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