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【速報】34年ぶりの快挙!「手取りが増える」協会けんぽ、健康保険料率引き下げの裏側と今後の注意点【社労士(社会保険労務士)が解説】

  • 執筆者の写真: 坂の上社労士事務所
    坂の上社労士事務所
  • 12月23日
  • 読了時間: 3分
協会けんぽ

2025年12月23日、私たち社労士業界、そして中小企業の皆様にとって非常に大きなニュースが飛び込んできました。中小企業の従業員やご家族など約4,000万人が加入する「協会けんぽ」が、来年度(2026年度)の保険料率を引き下げる方針を固めたのです。

「社会保険料は上がるもの」という常識を覆す、なんと34年ぶりの引き下げ決定です。 今回はこのニュースを、経営者様や従業員の皆様にとって何が重要なのか、社労士の視点で3つのポイントに絞って分かりやすく解説します。


1.協会けんぽ34年ぶりの「値下げ」!具体的な恩恵は?

最大のニュースは、現在10.0%(全国平均)の健康保険料率が、2026年度(令和8年度)から9.9%へ、0.1%引き下げられることです。「たった0.1%?」と思われるかもしれませんが、これは歴史的な出来事です。前回引き下げられたのは1992年(平成4年)。実に34年ぶりの決断となります。


【具体的な影響額】

協会けんぽ公表資料によると、年収などの条件によりますが、従業員1人あたり年間約2,000円の負担減(労使折半前で約4,000円の減少)が見込まれます。従業員にとっては「手取りの増加」、会社にとっては「法定福利費の削減」に直結します。従業員数が多い企業様ほど、そのコスト削減効果は無視できないものになるでしょう。


2.なぜ今?「賃上げ」が生んだ好循環

高齢化で医療費が増え続ける中、なぜ保険料を下げることができたのでしょうか?その最大の要因は、皆様が取り組んでこられた「賃上げ」です。

  • 賃金アップの効果

    お給料(標準報酬月額)が上がったことで、協会けんぽに入ってくる保険料収入が想定以上に増えました。

  • 潤沢な準備金

    収入増の結果、支払いに備える「準備金」が法令で定められた基準(1ヶ月分)を大きく超え、6.6ヶ月分(約5.8兆円)も積み上がっています。

つまり、「賃上げ→保険料収入増→財政改善→保険料率引き下げ→手取り増」という、非常に良い経済の好循環が生まれた結果と言えます。


3.プロはここを見る!「2030年問題」と「国庫補助」のリスク

手放しで喜びたいところですが、社労士としては「将来のリスク」にも触れておかなければなりません。公開された協会けんぽの財政試算資料を読み解くと、楽観視できない未来が見えてきます。

  • 数年後には赤字転落の恐れ

    協会けんぽの試算によると、賃金上昇が鈍化した場合、早ければ2030年度(令和12年度)には単年度収支が赤字に転落する可能性があります 。

  • 国からの補助金カットの懸念

    財務省は「お金が余っているなら、国からの補助率(現在16.4%)を下げてもいいのでは?」という姿勢を崩していません。もし補助率がかつての13.0%に戻されれば、将来的に大幅な保険料値上げが必要になるリスクも孕んでいます。

今回の引き下げは、あくまで「現時点での余力」を還元する措置であり、中長期的には再び上昇局面に転じる可能性があることは、経営計画において頭の片隅に置いておく必要があります。


まとめ

今回の保険料率引き下げは、賃上げ努力が実を結んだ素晴らしい成果です。まずは来春からのコスト減を前向きに捉えつつ、浮いたコストをさらなる人材投資や賃上げ原資に回すなど、次の成長につなげていくことが賢明です。

弊所では、こうした法改正に伴う給与計算の設定変更や、賃上げ助成金の活用など、経営者の皆様を全力でサポートしております。ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。


*ご参考:第139回全国健康保険協会運営委員会の資料を掲載しました


坂の上社労士事務所/給与計算・就業規則・助成金・社会保険・労務相談・人事評価(東京都千代田区神田三崎町/全国対応)

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代表 特定社会保険労務士 前田力也

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